232話 オスカーの氷魔法-1

 私がカインの助言を参考にして新しい魔法を開発した数日後――。


「あー、今日は少し暑いわね……!」


 私は寮の自室で暑さに耐えかねていた。

 季節は春だが、今日は夏のような気温に感じる。

 まさに異常気象だ。


「いえ、異常とは少し言いすぎかしら……。貴族の服は基本的に厚着だからねぇ……」


 現代日本で発売された乙女ゲーム『恋の学園ファンタジー ~ドキドキ・ラブリー・ラブ~』。

 それと酷似しているこの世界の気候は、現代日本に即したものとなっている。

 今は三月。

 本来であれば、暑いどころか少し肌寒いぐらいの気候である。

 にもかかわらず、暑く感じるのは何故か?

 それは、貴族の娘としてそれなりにきちんとした服を着ていることである。

 前世のように、Tシャツ一枚で過ごすことはできないのだ。


「やっぱり、この世界にもエアコンとか欲しいわね……。あ、そう言えば……」


 この王立学園には、空調用の魔道具が設置されていなかっただろうか?

 寮の個室にはさすがに設置されていないけど……。

 確か、談笑スペースに設置されてあった気がする。


「とりあえず行ってみようかしら……」


 私は部屋を出て、談話室へと向かった。

 すると――そこには先客がたくさんいた。

 それも、女性陣ばかりである。

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