第23話魔法使い part1
23.魔法使い part1
10歳の誕生日の次の日の朝食。
「お母様。今日から魔法の修行お願いします!」
「えーメンドクサイ」
「おま、おしえ、ふざ、、かゆ、うま」
「冗談よ~後で教えてあげるわよ」
「……もうちょっとでタイラ〇トに変身する所でした」
「もうアルがおかしな事を言うの慣れちゃったわ」
みんなが一斉に頷いている。クララ、お前もか!
朝食後--------
今日は算術の勉強らしい。
エル、アシェラ、マール、クララが問題を解いていた。
「アル、あんたも一緒に勉強したら?」
「母様、11×11は?」
「む、10と1に分けて……」
「121です」
「……」
「12×12は?」
「あんたは分かるんでしょ?」
「144です」
「アンタ、たまに物凄く意地が悪いわよね」
「親に似たもので」
「じゃあ、しょうがないわね」
「そうですね、母様」
親子で青筋を立てながら、にこやかに会話する。
母さんと2人で居間に移動した。
「母様。暇なので魔法を教えてください!」
「二度手間だからメンドクサイ!後でエルやマールにも教えるんだから。後2時間ぐらい待ちなさい」
「……」
「教えないわよ」
「分かりました。演習場にいってきます」
あまり無理を言ってヘソを曲げられてもマズイ。しょうが無く演習場へと歩き出す。
(ちょっと体でも動かすか)
身体強化を一瞬で行い、庭の木を壁走りで登っていくと、すぐにテッペンに到着した。
テッペンから下を見る。20mぐらいだろうか、落ちたら間違い無く死ぬ高さだ。
オレは……
飛び降りた。
地上がすごい速さで近づいてくる。
空間蹴り!速度が落ちる。もう一回。さらにもう一回、完全に速度は消え オレは空中に立っていた。
空中に立っていると魔力がガリガリ削られていく。
魔力の足場を消し、地上へ降りる。
今のは空間蹴りの応用だ。
落下中に空間蹴りをすると、跳んだ分だけ落下のスピードが落ちる。
それを何度か実施すると完全に落下スピードを消す事ができた。
これでオレは墜落で死ぬ事は無い事になる。高さを克服したのだ!
まあ、現実には魔力切れや空間蹴りができない場合は墜落死するのだけれど。
オレは今までの技術を応用して新しい使い方を模索していた、
昼食後--------
「いやっふーー魔法だーー」
「やっとですね、僕も楽しみです。兄さま」
「私は、もう魔力変化に進んで良いのか、ちょっと不安です」
3人は魔法を覚えるに当たっての不安と喜びを話し合っている。
「じゃあ3人共、今日から魔法を教えるわよ」
「お願いします。母様」
「お願いします。母さま」
「お願いします。ラフィーナ様」
「手順を説明するわね。最初に教える魔法はライトよ。まずは魔力操作でどれだけの魔力を使うか決めるの。魔力の量を決めたら魔力変化で光の魔力に変化させる。それでライトの完成よ、簡単でしょ?」
母さんは指先にライトの魔法を出して説明している。
「魔力変化の修行だけど、まず瞑想に入り魔力を光の魔力に変化させるの。光を想像して魔力を光そのものに変化させる感じね。私はランタンの光をイメージしてるわ」
「イメージはランタンでなくても良いんですか?」
「そうね。エルの想像しやすい物で大丈夫よ」
「わかりました。母さま」
「じゃあやってみましょうか」
オレ達3人はそれぞれ瞑想に入っていく。
魔力を斥力と引力に変化させるのは出来ていたので、簡単に光の魔力に変化できた。
次はいつも通りに、眼を開けての魔力変化の修行と思い、瞑想を解く。
「母様、出来ました。次は眼を開けて、魔力変化ですよね?」
「そうよ。やってみて」
魔力操作で指先の上に魔力の玉を作る。
先程の要領でゆっくりと光の魔力に変化させていく。
すると魔力の玉が徐々に光を発し始める。
全ての魔力を変化させた時には強い光を放つ光の玉が浮いていた。
「どうですか?母様」
母さんは光の玉を見て話しだす。
「アル、合格よ。これでアナタも魔法使いね」
オレはとうとう魔法使いになった。いやっふーーーーい!
「他の魔法も同じようにすればいいのですか?」
「基本は一緒ね。火の魔法であれば魔力の量と飛ばす形を魔力操作で決めて、火の魔力に変化させれば火魔法になるわ」
「なるほど」
「何か気になる事でもあるの?」
「1つ聞きたい事があります」
「答えられる事なら答えるわよ」
「母様はさっきの魔法にライトと言ってましたけど、言葉で言う必要はあるのでしょうか?」
「必要は無いわね」
「なぜ、言葉に出すのですか?」
「理由はいくつかあるのだけど、大きな理由は2つ」
「2つ」
「1つ目は周りへの周知ね。いきなり即死級の魔法が横を通り過ぎたらどう思う?」
「確かに」
「2つ目は自分のイメージの補填ね。何十、と魔法を覚えていくと、この魔法の魔力変化はこう。魔力操作はこう。と覚えきれなくなってくるのよ」
「確かに覚えきれないかもですね」
「だから魔法に名前を付けてイメージの補填をするの。流派によっては詠唱したりするのよ」
「詠唱ですか」
「そう、例えばエアカッターなら“我願う、不可視の刃にて敵を切り刻まん~~~~~~~~”とかって詠唱するの」
「面倒ですね」
「悪い事ばかりじゃないわ。詠唱魔法だと使い手によって威力の差があまり出ないの」
「なるほど、威力の標準化ですか」
「私の流派だと、同じ魔法でもイメージによって全然違う魔法になっちゃう事もあるしね」
「自分にあった師から学ぶのが良いと」
「そうね、でも最近は詠唱魔法が主流なのよ」
「無詠唱の方が実用性が高いと思うのですが」
「詠唱魔法の方が伝え易いのと、魔力の共振が主な理由ね」
「魔力の共振?」
「ええ、2人以上が同時に同じ詠唱魔法を使うと、本来の魔法より少しだけ威力が上がるのよ」
「それはどんな理屈なのですか?」
「分からないわ。ただ威力が上がる事は間違いない。研究者によっては精霊がチカラを貸してくれるって説いてる人もいるわね」
「なるほど」
「軍なんかだとバラツキがある無詠唱より、隊列を組んでの詠唱魔法の方が運用は楽でしょうね」
「……詠唱魔法が主流になるのが分かりました」
「だから私の流派では弟子を最低3人は育てないといけないの」
「初耳なんですが」
「それはそうよ。言ってないもの」
「オレも弟子を3人育てるのですか?」
「あたり前じゃない。大丈夫よ死ぬまでに3人だから」
「……」
「大丈夫よ。3人なんてすぐよ、すぐ」
オレはいきなり3人の弟子を取る事を強制させられた。
さあ、気を取り直して魔法の修行だ!
そこからは色々と試しながらで魔力変化を行っていく。
しかし、家の中ではライトの魔法ぐらいしか使えない。
水魔法や火魔法では、家の中が水びたしや火事になってしまう。
「母様、演習場で魔法の練習をしてきてもいいですか?」
「アシェラが使ってる場所があるから、そこに行きましょ。一応、魔法は認めた人にしか教えちゃいけない事になってるし、あんまり人に見られるとね」
「そうなんですか?」
「言ってなかった?」
「聞いて無いですね」
「今、言ったから大丈夫よ」
「今度、しっかり教えて貰えると」
「分かったわ。エル、アシェラ、マールが揃った所で説明するわね」
「お願いします」
「アルは変な所で固いんだから」
オレが悪いのか?と頭を捻りながら母さんに付いていく。
しばらく歩くと屋敷の裏の雑木林の中に開けた場所があった。
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