カウンセリング・ルーム
連喜
第1話 カウンセリング
最近、家の近所に変な店ができた。ぱっと見は喫茶店なのだが、カウンセリングをしてくれるティールームらしい。占いをしてくれる喫茶店やレストランというのが昔あった。今はコロナで難しいかもしれないが、一時は盛んにマスコミに取り上げられていたもんだ。今は占いなんかもウェブでできるし、できるだけ人には会いたくない。
料金はお茶付きで45分2000円だった。ちょうどいい席代や時間つぶしになるし、お茶が付いてくるならなおさらお得感がある。
やっていたのは、50代の主婦の人(Aさん)だった。この世代の人は安心感を醸し出してるから、ついつい本音を喋ってしまう気がする。その人の場合は、愚痴聞きビジネスの延長だろうか。値段設定からして、全然儲からないと思うし、自宅の1階を改装してやっているから、改装費がかなりかかっただろう。
Aさんは心理学に興味があって、図書館で借りた本をたくさん読んでいて、通信教育で誰でも取ることができるようなカウンセラーの資格を持っていたそうだ。金持ちの奥さんの道楽なのだろうか、それとも他の目的があるのだろうか・・・ちょっと気持ちが悪いと思っていた。
◇◇◇
今はメンタルクリニック流行りだ。あちこちにクリニックがあるが、土日は予約でいっぱいだ。日本人の5人に1人は一生のうちに何らかの精神疾患(うつ病・不安症)にかかると言われている。一家に1人はそういう人がいてもおかしくないし、隠すことじゃなくなっている。俺も少し前に、こういうクリニックに行ったけど、若い人がたくさんいた。みんな普通の人と変わらない感じで、受付で感じよく喋ってるし、イケメンやきれいな人が多くて、一体何が問題なのかまったくわからなかった。
それにしても、カウンセリングは異常に高い。保険適用外で、相場が1時間6000円~10000円くらいする。高い金を払って行ってみても、カウンセラーはクライアントに共感して、自力で解決策を見つけるためにサポートするというのだから、意味があるのかなと不思議に思う。悩みがあったら解決策をアドバイスする等でないと意味がない気がするんだ。
こういう人に相談するくらいなら、占い師にバシッと説教してもらった方がいいと思うのは、俺が昭和生まれだからかもしれない。
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