ノートに描いた猫が、今日も私にじゃれてくる。

ほわりと

ノートに描いた猫が、今日も私にじゃれてくる。

第一話 魔法少女も悩める普通の女の子!

1-1  魔法少女って、いるのかな?

 魔法少女って、いるのかな?


 困っている人を助けてくれて、悪い敵がいたら魔法の力で解決する。そんな、正義のヒロインみたいな存在。子供の頃の私は、この広い世界のどこかで悪い存在と戦っているのだろうと、ずっと思っていた。


 ちょうど、テレビで放送されていた魔法少女アニメに夢中になっていたから。


 中学生の女の子二人組が可愛いマスコットと突然出会い、魔法少女・ミルフィとグラッセに変身して、悪いラクガキ・グラフィジーから世界を守る変身ヒロインアニメ。それが『まじ描るミルフィ』、通称『ミルフィ』。


 まだ小学生だった私には、ちょっとお姉さんのミルフィ達が一生懸命に戦う姿が恰好よくて可愛くて、すっごくキラキラして見えた。今でもミルフィは一番好きなアニメ。だって、みんながニコニコと笑顔で終わるから。


 この前、ゆりちゃんにそのことを話したら「もう高校生なんだから、子供っぽい夢なんて卒業したら?」なんて言われた。


 まったく、失礼しちゃうよ!


 たしかに子供の頃の夢は「ミルフィになりたい!」だったけど、中学校卒業と同時に私の夢は破れたのだ。魔法なんて使えなかったし、マスコットとの運命的な出会いもなかった。不思議な事件のない、ごく普通の平凡な中学校生活を過ごした。


 子供の頃の私だって薄々は気がついていた、あれが作り物の世界だということは。


 でも、もしも…


 もしも本当に、いるとしたら?




 ―――――――――――――――

【小鳥遊双葉 たかなしふたば】

 魔法少女アニメ『まじ描るミルフィ』が好きな高校二年生。身長百六十センチくらいで胸は控え目。ルビーのような情熱的な赤を含んだ黒い瞳。ブラウンのミディアムボブ。子供の頃の夢は「ミルフィになりたい!」。その夢は破れ高校生になった今ではミルフィをアニメとして楽しんでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る