遊びの星と仕事の星

@mody

第1話 選ばれし王妃

広い広い宇宙の片隅の更に片隅に、遊びの王様の治める遊びの星がありました。

この王様はこの星の遊びの大会で優勝して王様に選ばれたのでした。

この星では日の半分は赤い太陽に照らされて植物を実らせ、残りの半分は青い太陽に照らされていて夜はありませんでしたので、休みたい者は休み、遊び足りない者は遊ぶ事が出来ました。

この星の食べ物は幸せの果実で、星のあちこちに生える幸せの木から取ることが出来ます。

沢山の種類があり、どれも食べると幸せに満ちてパワーがみなぎるのでした。

幸せの果実そのものは、食べられることによって幸せになるばかりであって、痛くも痒くもありませんでした。

仕事も税金もありませんでした。

ただあるのは、年に一度遊びの役所に赴き新しい遊びの方法を提案するか、面白い話を作って報告するだけで良かったのです。

家が欲しい人のためには、家を作って遊びたい人達が自然と集まって来て建てるし、乗り物が欲しければ、人々がまた集まって遊びで作った乗り物を展示している遊びでやっている乗り物店で、好きな乗り物を勝手に乗って帰れば良いのでした。


その日も人々は幸せいっぱいで笑いながら過ごしていました。

遊びでやっている王様の家来達も、みんなでゲラゲラの水を飲んで笑っていました。

するとそこへ王様がやってきたので、家来達はより一層腹を抱えて笑い転げはじめました。

何しろ王様の顔はとても不細工だったのですから。

ギョロ目に赤いダンゴ鼻、分厚い唇、おまけに髪の毛が一本もないツルッパゲだったのです。

王様は、自分の顔を見て家来達が笑い転げているので、たいそう満足して自分もつられて笑いながら言いました。

「家来達よ! わしの話を聞いてくれ!」

遊びで王様の家来をしている家来のうちの一人が答えました。

「何でしょう、王様?」

「わしは今度、結婚と言う遊びがしたいのでわしに合う姫を探して来て欲しいのじゃ」

遊びで家来をやっているいい加減な家来達は話に飛びついてきました。

「面白そうですね王様! すぐに探して参りましょう」

家来達はそう言いながらも直ぐには腰をあげる事なく、王様のハゲ頭にコップを投げつけて大いに笑い転げてから、笑い疲れてようやくほうほうの体で王妃探しの腰をあげました。

王様はハゲ頭に出来たタンコブを押さえながら、喜んで自分の部屋へ戻ってゆきました。


遊びの家来達は相談して、王様に喜んで貰える様に星中に告知をしました。

「この星1不細工な王様が、結婚の相手を探しておられる。ついては女限定の不細工コンテストを執り行うので、吾こそは星一番の不細工な女と思う者は応募する様に」

告知はすぐに広まって、星中から不細工な女性がコンテストに集まりました。

中でも一番チンチクリンな顔をした笑いのセンスもある女性が優勝しました。

遊びの王様は優勝した女をたいそう気にいって、二人は結婚することになりました。

そしてこう言いました。

「来週結婚式をするから準備して」

「分かりました!」

笑いのどよめきと共に不細工コンテストが無事に終わりました。


続く


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