第16話 クズの証明と正義
「そちらの3人の男には理解出来るだろうから、見せてやろう」
俺は3人の性欲を290%に変更する。
「っ!?」
「この感覚に見覚えはあるだろう?」
「こ、これは!?」
3人の性欲を元通り戻す。
「ゲラルドさん? どうしたんですか?」
顔が真っ青になる3人を、女が心配する。
「お前達が
「なっ! や、やめてくれ!」
3人が立ち上がる。
「話を聞きに来たのだが、お前さんに敵対するために来たのではない!」
「げ、ゲラルドさん!?」
「ゲラルドさんよ。こうして被害者を追い詰めておいて、タダで帰れると思ってるのか?」
「ゲラルドさん! どうしたんですか! みなさんも!」
「くっ…………謝る。すまなかった!」
「「申し訳ございませんでした!」」
あの感覚に陥っているだけあって、一瞬で理解出来たようだな。
「足りねぇな。お前達にはやって貰いたい事がある。今日は一旦帰れ。その状態を噛み締めて、明日の朝もう一度訪れてこい」
3人の絶望に落ちる顔が、うちの店にどっぷりハマっているのが分かる。
「これ以上俺の機嫌を損なってもいいのか?」
「わ、分かった!」
「女は置いていけ」
「だ、だが…………」
「今日の事は、この女が起こした問題だ。その責任はこの女に払って貰う」
「…………分かった」
「ゲラルドさん!?」
「ユーリ嬢…………すまない…………」
ゲラルドと2人の兵士が頭を下げると、逃げるように家から出ていった。
「さて、話し合いを続けようか」
「っ! 一体何をしたの!?」
「それはこれから説明するが、その前に、どうして俺の跡を追う? お前さんになんのメリットもないでしょう?」
「わ、私は! 常に正義の下で働いています!」
「正義か…………」
「貴方がやっているのは、弱い者のいじめと同じです!」
「一つ聞こう」
「…………どうぞ」
「先程聞いたと思うが、勇者についてはどう思う?」
「それは…………勇者様がそんな事をするはずは…………」
「じゃあ、話を変えて、もしもの話でいい。勇者ではなく、彼とギレについてどう思う」
「………………最低だと思います」
その正義とやらで少々頭が固くなるところはあるが、返ってその正義感が突き動かす行動力は目に見張るものがある。
ゲラルドの地位は分からないが、相当強いのは見ただけで分かる。
うちのお店の用心棒をしているギアンさんの強さを見て来た。ああいうお店だから時折現れるやつがいるが、誰一人ギアンさんの相手にならない。
そんなギアンさんと同等の強さに見えるゲラルドなら、兵士の中でも随分んと上の地位だと思う。
そんな彼が彼女について来たという事から、彼女が高く評価されているのだろう。
「では証明に行こう」
「えっ!?」
「自信があるのだろう?」
「…………」
俺はその足で彼女を連れて、『裁判官』がいる『裁判所』に向かった。
◇
早速着いた『裁判所』に『裁判』の依頼をする。
普通なら理由やら待たされたりするのだが――――
「ベリアル様。こちらにどうぞ」
一人の中年男性裁判官が案内する。
ここに来た時、見つけたその男は、うちのお店の常連の一人だ。
ゲラルド同様、同じ手口で全て省略させて、『裁判』をさせる。
『裁判官』の前で俺の過去――――勇者クレイの件を語る。
「汝の言葉を『裁判』する――――スキル『裁判』」
裁判官の両手から美しい光が広がり、淡い黄色い光の玉が現れる。
「汝の言葉は――――『真実』である」
「これで納得か?」
「…………」
ユーリは答えず、ずっと俯いたままだ。裁判官の『裁判』のスキルは不正も出来ない。神が授けた力だ。
「お疲れ様」
「お、お疲れ様でした!」
「例の件は俺から伝えておこう」
「おお! 感謝申し上げます! ぜ、ぜひ、セリス嬢をお願いします!」
「ああ」
裁判官は満足そうに部屋を後にした。
俯いた彼女を連れて、再度家に帰っていった。
◇
「ユーリと言ったな」
「は、はい…………」
「言った通り、俺は被害者で受けた事を報復したまで。それは君の正義から離れているのか?」
「…………」
「もしやられても我慢するのが正義ならそんな正義なんかクソ喰らえだ。どうして弱い人が強い人に虐げられるのに助けない正義は許されて、力で力をねじ伏せたら正義じゃないのなら、俺はそんな正義に絶対に屈しない。そんな正義の理不尽を全て喰らい尽くしてやる」
目の前の彼女の性欲を200%に上昇させる。
「っ!? な、なに!?」
「お前、今まで――――経験が
「へ?」
「俺には分かる。お前を心から満足させられた男になんて会った事がないだろう?」
「ど、どうして……」
彼女が
視界の上に映る黒い数値が今は200%と表記されているが、
「よく今までそれでやってきたな」
「い、一体何が……?」
「お前が正義にこだわる理由。今まで感じて来た理不尽に立ち向かう為に、必死に生きていたのだろう」
「ど、どうしてそれを」
「……君が生まれてから理不尽と戦っていたのを、俺だけが知っている。だが、俺なら君が受けている理不尽を吹き飛ばしてやれる」
「私が受けている理不尽を……」
「だから、俺に身体を委ねろ」
既に性欲が200%で、
丁度良いチャンスだと思う。
――――スキルレベル4『性欲超上昇』。
彼女を
元々彼女の頭の上に映っていた数字は、黒色で5%と書かれていた。
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