第14話 仕事の契約変更(三人称視点あり)
俺はクズ大家から多くの土地を奪い取って、そのうちの一等地をミレイアさんのお店に宛がって、他の土地は元々入っていた連中にそのままの契約の内容で継続して貸し続ける事にした。
元々土地を手に入れても何かをしたい訳ではなく、これで定期的に収入が入るならそれでも良いと判断したからだ。
仕事も順調で、俺が手伝っている娼婦館もかなり繫盛するようになった。
そんな娼婦館だが、流れている噂は『誰でも最高に楽しい時間を過ごせる』という事だ。
そんな仕事にも変化があった。
今までなら娼婦館の従業員宿舎から見下ろして、客の性欲を変更して条件変更を付けていたのだけれど、レベル3になって手に入った新しいスキル『性域』を色々試行錯誤してみた。
このスキルは場所を指定して、そこに入った人間全てに設定した性欲値の変更や、条件変更を付与する事が出来る優れたスキルだが、肝心な『付与したい人を指定出来ない』というデメリットが存在する。
それを何とか出来れば、毎日客の性欲値を俺自身が変えなくても済む。
まず指定する場所について分かった事は、場所は何も
例えば、娼婦館全体に掛ける事で、どこからか娼婦館に入った瞬間に発動させる事が出来る。
ただ、これだと誰も彼も構わず、そうなるのがよくないので、却下。
次に部屋内のみ設置する事が出来た。
例えば、客の待合室に掛けてしまえば、待合室に入った客にだけ発動させる事が出来る。
ただ、これだと案内のボイくんや、掃除に入る人達にも発動させてしまう事になる。
それを何とか出来ないかと色々調べてみると、『性域』の弱点を見つける事が出来た。
いや、弱点というよりは、俺の力による
『性域』を無効化するには、対象が『性欲値条件変更』が発動し続けている場合にのみ、発動しないようになっていた。
つまり、案内のボイくんや清掃員達に『性欲値条件変更』で『年齢が100歳になった時、性欲値を10%に変更する』を設定したとする。
すると彼らは100歳になるまで『性欲値条件変更』のスキルが適用され続けている事になる。
この状態を『条件変更状態』と言い、この状態の人であれば、『性域』に入っても変更にはならなかった。
この事によって、待合室に『性域』を設定し、案内のボイくんと清掃員には年齢の『条件変更状態』になって貰った。
まあ、これで彼らはここを利用出来なくなるデメリットがあるけど、まあいいだろう。
従業員達には『条件変更状態』にはしていない。
その理由としては、元々ここを契約した時に、従業員達に性欲値を上げて欲しいとお願いされたら、上げてあげる契約になっている。
これをボーナスといい、1回変更してあげる(客と同条件)ことに大銀貨1枚(銀貨10枚と同額)を貰う契約になっていたが、これを機に『性域』を設置して、『設置代金』を受け取る契約に変更して貰った。
それには理由があって、毎晩時間が拘束されてしまって、自由に動けなくなったのと、今はそれなりのお金があるからだ。
用心棒のギアンさんとはそれなりに仲良くなり、あいつらがここを訪れた時は、すぐに連絡を貰う事になっている。
俺の居場所を嗅ぎ分ける事が出来る『連絡鳥』を使って、すぐに連絡に来るはずだ。
さあ、こちらの準備は終わっている。
娼婦館の噂も十二分に流れているだろう。
そろそろ限界も近づいているだろう。
あいつらがどういう表情をするのか楽しみで仕方がない。
◇
◆王城内◆
「あ~最近、クソやる気出ねぇな~」
豪華な部屋に集まつた5人は、不満を口にする。
「なあ…………兄貴と一緒にいた時の方が楽しくなかったか?」
「お、おい、それ言うなよ。クレイが聞いたらやばいぞ」
「で、でもよ! おかしいだろう! 兄貴が用意してくれた
全員が自分の下を
「あのさ…………立たなくなった日の事、覚えているか?」
「当たり前だよ。
「めちゃ分かる! しかもさ、俺らが店に行った時より凄くなかった!?」
「数回はやれたもんな! 女の方も何だか調子良いみたいって言ってたしな」
「それが今では…………全く立たないもんな…………」
「な、なあ。これ誰にも言わないで欲しいんだけど……」
男を他の4人が注目する。
「『水晶の館』って覚えているか?」
「あの高級娼婦館か?」
「そうそう。実はさ。兵士達が噂していたんだけど、あの娼婦館が最近凄いらしい」
「最近?」
「今まで抜けなくなった人も余裕で抜けれるし、今までと比べものにならないくらい凄いらしい。兵士の中には妻と別れて、毎日行く人もいるみたいなんだよ」
「そこまで!?」
5人は噂の娼婦館を意識するのであった。
◇
◆王城の訓練場◆
「い、痛ぇえええ!」
吹き飛ばされ転がる勇者。
「…………」
それをただ冷たい表情で見る女騎士は、騎士団の団長を務めるスカーレットである。
「話にならんな。ここ一か月の訓練を見てきたが、まだ下級騎士にすら勝てない実力では、持っているスキルが泣いているぞ」
「く、くそ!」
クレイが地面を叩きつける。
悔しさでその手が血で染まる。
「このまま訓練を続けてもお前のためにならない。明日から狩りに出て貰うぞ」
クレイは仕方なく、実力を積む事なく、初めて魔物との戦いに身を投じる事となった。
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