その日々をうたう物語

せらひかり

第1話 黄昏

黄昏時に、黄昏色の月を割る。とろりと黄身が流れ出して、手指をゆっくりと伝っていく。それは私の卵だったのに、と雄鶏が苦情を言う。私の、夢の卵なのに。いいやそれは私の、と、隣の雌鶏が声をあげる。どちらの夢でも構わない、これを食べるのは私の夢。夜、孔雀の羽のような青緑のとばりが降りる。

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