巻き込まれ体質だがそれが何か?

閃華

第1話 俺は運がいい

 俺の名前は本真海(ほんまかい)18歳、フリーターだ。少々ふざけた名前だが本名だ。母親が再婚して名字が変わりこんな名になってしまった。俺の夢は婿養子になって名字を変える事だ。


 まぁそんな事は今はどうでもいい。少々ピンチな所だ。


 何かって?


 今、ヤクザに追われている所だ。まぁよくある事だな。


 今回、何故こうなったかと言うと数分前に俺が散歩していた所にゴミが落ちていてな。

 それを拾おうとしゃがんだ所に歩きスマホに夢中になってる男が俺に気付かずに突っ込んできて転倒した。

 その先に女性がいて、男が勢いあまって女性のスカートをズリ下ろしてしまったのだ。しかもその女性がヤクザの組長の娘らしくて周りにいた子分共がカンカンに怒って追いかけてきた。


 それで今はスカートをズリ下ろした男と一緒に逃げてる所だ。その男からは『お前のせいだ』と言われた。


 その通りだな。ゴミを拾う時は周りに注意しないとダメだ。


 しかし、逃げるのにも疲れたしヤクザの子分も仲間を呼んだりと人数が増えてきてる。捕まるのも時間の問題だ。


 ヤクザの連中『ぶっ殺してやる』と叫んでいるが素直に謝れば半殺しで済むかもしれない。これは今までの経験上の事だ。逃げる事で奴等の怒りはどんどん増えていく。まぁ条件反射で逃げてしまったが謝るなら早い方がいい。


 俺は男に『クマさんパンツも見れた事だし、もう素直に謝らないか?』と提案した。


 男は『そんな事で殺されてたまるか』と否定してくる。


 おいおい、そんな事だと? クマさんパンツだぞ? 大人の女性が穿いてる所なんて滅多に見れるもんじゃないぞ? それはもう殺されたとしてもそれは仕方ないと思うぞ? 生き残れたらさらにラッキーだ。


 俺は男に『俺は謝るからお前だけでも逃げてくれ』と伝えて立ち止まった。


 男は『お前はバカなのか?』と言いそのまま逃げて行った。


 俺は決心しヤクザの前で土下座をした。


 すると子分達は『こいつじゃねぇ、もう1人の方追いかけろ』と言い2人程残って後の連中はあの男を追いかけて行った。


 なんだ? 俺は逃げる必要なかったのか?


 まぁそれでも一応お嬢(スカートをズリ下ろされた女性)に俺をどうするか聞いてみると言われ俺は正座をしたままそのお嬢が来るまで待った。


 そして、スカートをズリ下ろされた組長の娘がやって来て俺を見て『下着を見た事には変わりないから1発殴らせろ』との事だ。


 おいおい、クマさんパンツ見れた上にご褒美か? 俺はなんて運がいいんだ。


 女性は勢いよく殴ってきた。


 流石はヤクザの組長の娘、いいパンツ……いや、いいパンチだ。


 俺を1発殴った後その女性と子分はもう1人の男の方を追いかけていった。


 もちろん俺はその男がどうなったかは知らない。


 今回の俺はヤクザの子分共に半殺し以上の事を覚悟していたのに結果、女性からのご褒美(1発殴られた事)で済んだ。


 やはり俺は運がいい。

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