第8話 私の想いは届かない…
「愛ちゃん」
ゾワゾワ〜
滅多に呼ばないし呼ばれる事のない呼び方や聞き慣れない為、私の体は鳥肌が立つ。
「な、何?その呼び方」
「Hしよう!」
「………………」
「駄目?」
「…いや…私の想い知ってて…都合良くない?…所詮、光河は、私の事、そういう目で見てるんだよね…」
「だって、俺、そういう男だから」
「……そうだよね…本当…分かっておきながら私…でも…駄目っ!」
「じゃあ…町でナンパしてこよう!」
「勝手にすれば!?私達は、付き合ってるわけじゃないし!」
光河は去る。
「………………」
私は泣きそうになった。
夜。
光河は、私を一人に宿に残し、出掛けた。
「…光河…どうすれば私だけ見てくれるの…?女癖…どうにかしてよ…」
どんなに 私が
あなたを 愛しても
あなたは
私だけを
愛してくれない……
ねえ 光河……
あなたは
これから先も
このままやっていくの……?
その日の夜も更けた頃―――――
「おかえり」
私は光河に背を向けた状態で言う。
「愛…起きて…」
「眠った所で眠った気がしないよ」
「そっか…ねえ、愛」
私のベッドに腰をおろす。
ドキン
「…何…?」
「俺の事…これからも信じられる?」
「えっ?」
私は起き上がり光河を見る。
「光河…?」
「俺が出掛けても女の人といなかったと言っても愛は…俺の事…信じられる?いや、信じてくれる?」
「そんなの……」
「…無理もないか…信じろっていうのが難しいよね…俺の事…ごめん…おやすみ…」
そう言うと自分のベッドに移動し背を向けた。
私は光河の背中を見つめる。
「光河…」
「ん?何?」
振り返る光河にキスをした。
「愛?」
「光河の事…本当は凄く信じたいよ…どんなに女好きでも女癖悪くても…それが今の光河…だから…。…だけど…私だけ見てくれないと私は寂しい…」
「………………」
「だって…私の想い…一方通行だから…私が追っても、追っても、光河…は…私から離れてく…逃げていく…から…」
「………………」
「…ごめんね…束縛してるみたいに重いよね…おやすみ…」
自分のベッドに行こうとすると引き止められ、気づいたら私の視界が変わり、気付けば光河に両手を押さえつけられ、キスされた。
「…光河…」
光河は、洋服を脱ぎ、再びキスをし、深いキスをする。
何度も何度も繰り返すキスに私は吐息が洩れた。
「…ごめん…愛の気持ちを知ってて…異性を抱きたくなるのは…俺の悪い女癖だ…」
スッと離れ始める光河を引き止める。
「…いい言葉並べても不安ばかりなんだよ。だからって関係持つだけも良いものじゃない。俺が例え他の女性(ひと)と関係持ったとしても、そこには本当の愛はない」
「そんなの…分かってる…不安とかなくて…私だけを見てくれてる実感がほしいよ…私…ワガママだよね…光河が一人の人愛せないの分かってて…ごめんね…光河…」
私は光河に抱きついた。
「…愛…俺こそ…ごめん…」
私達は1つになる。
寂しいはずなのに
この瞬間だけは
寂しさなんて
消えてなくなってる
いつまで続けられるのだろう?
ねえ……
光河……
あなたは……
いつか私だけを…
愛してくれますか………?
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