第21話 ミールワームを一瞬で討伐!……グロくなければヨシ!


 「あそこだな」


 少し遠くに見える砂浜には異常な程に大きなミールワーム。


 隠れずに何か森の方を向いているな?

 

 そういや、ミールワームって元の世界では茶色なんとかかんとかとかという幼虫の事だったかな?まぁいいか。

 

 「魔王様からの依頼だから普通ではないと思ったが……」


 貝などの採取の依頼でこの魔物はすでに知っている。


 まぁ……


 「関係ないけどな!」


 

 フッ……僕も馬鹿じゃない。

 この世界で魔物を倒す事は必須だ……だけどグロすぎると見てて吐きそうになるから色々と考え、ついに倒し方を編み出したのだ……必殺!



 僕はそのまま空高くジャンプし__


 

 「おりゃ!」



 2匹の大きなミールワームのど真ん中砂浜にダイブした。


 「「ーーーー!?!?!?」」


 すると着地した所にクレーターが発生しミールワームは衝撃で砂と一緒に舞い上がる。


 

 これぞ必殺【ヒーロー着地の産物!】


 きっかけは崖の上の花を取る依頼最中にマスターが足を滑らせ落ちてるとこを救出して着地した時にたまたま下に居た草食系魔物達を衝撃で浮かせてしまった事からだ。


 後はイメージして何回か練習したらできた。


 後は!


 「とう!」


 もう一度ジャンプし巨大ミールワームのブヨブヨした皮を掴む。


 「餌の時間だ魚ども!」


 海と直線上に2匹が重なったタイミングで思いっきり投げた。


 「ーーーーーー!?!?!?」


 空中で投げられたミールワームはもう1匹にぶつかりそのまま勢いを落とさず飛んでいき、最後は遠くで大きな水飛沫をあげながら沈んでいった。


 素材は取れないがこれならばグロい臓物などを見ないで済む。


 「一件落着だな」


 先程のミールワームが見ていたところを見ると目を丸くし立ち尽くしている魔族が居た。


 全身かは解らないが見えている部分は爬虫類の鱗で覆われており頭に黒い髪が生えていてオールバックになっている。


 竜族?ってやつか?このタイプで髪生えてるってあるんだ……彼は僕が近くに来るとおそるおそる聞いてきた。


 「あ、あの……えと、あなたは?」


 よし、人間って事はこのローブのおかげででバレて無さそうだな?確認完了!


 「俺か?俺は……」


 うお、どうしよ!ここめっちゃアニメみたい!

 なんて言おうかな……えーっとえーっと


 「君を救いに来たヒーローだ」


 「へ?」


 「……」


 「……」


 沈黙が過ぎていく……


 あ、あれ?臭すぎたかな?てかヒーローってこの世界でも伝わるのかな?

 大人しく「名乗る程のものじゃない」とか無難なかっこいいこと言ってた方がよかっ__



 「ま……まじかっけええす!」


 「え?」


 お?


 「ありがとうございます!命の恩人です!」


 うお、めっちゃ食いついてきた!

 

 「一生ついていきます!いや!ついて行かせてください!」


 ええ!?食いつきすぎじゃない!?


 「……」


 どうしよ。


 いや、どちらにしろマスターの居る拠点までは着いてきてもらうんだけど……いや、待てよ?


 「君、職業は何だ?」


 「うっす……あなたの前で言うのは恥ずかしいのですが戦士をやらせてもらっています」


 「なるほど……リーダーに聞かねばなるまいな」


 ラッキー!戦士が僕たちのパーティーに加わってくれるならこれから先の依頼が色々増えるぞ!

 ゴールドをどうやって脱却しようか迷ってたけどこれなら行ける!


 「リーダー!?あなたがリーダーじゃないんですか!?」


 「そうだ、ついて来い」


 「はい!」


 



 そして____






 「あそこに見えるのがリーダーだ」



 僕は少し遠くに見えるマスターを指差した。









 「……………………………え」







 その時のライトの顔は今でも忘れない。





 

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