第4話 勇者街をぶらつく

 こ、ここがカスカベの街か。

 俺は街の探索もそこそこに、街の入り口付近にあった宿屋に駆け込む。

 早く体力を回復させたかった。


「一晩八円だけど、泊まるかね。」

 と宿屋の主人に言われた。

 八円か。高すぎね?

 魔物一匹倒して、三円ゲット。三匹倒したので、九円ゲット。

 つまり、死にかけの状態で稼いだ金と、宿代がほとんど一緒。

 なんと魔物退治の効率の悪さよ。


 だけど背に腹はかえられないので、俺は八円払って泊まる事にした。

 飯食って風呂入って寝た。

 したら、体力が完全回復。


 宿屋を後にした俺は、早速カスカベの街を探索する。

 街には武器屋と道具屋があった。鍵屋はなかった。

 俺は早速武器屋に向かう。

 さすがに素手で普段着な状態では、魔物との戦いもおぼつかない。

 武器屋に売ってるのは、以下のとおりだった。


 竹の槍  50円

 銅の剣 180円

 革の鎧 120円

 革の盾  80円


 今の所持金は201円。

 これでは武器防具を揃えるには、竹の槍と革の鎧の組み合わせしかない。

 200円しかくれない王様が、怨めしいぜ。

 実際魔物と戦った印象としては、防ぐ防具より攻撃する武器が欲しい気がする。

 だから俺は、銅の剣を買った。


 次に道具屋で売ってるのがこちら。


 やくそう  8円

 たいまつ  5円

 転移の翼 120円


 転移の翼とは、目的地をイメージして空に放ると、その目的地に移動出来る代物らしい。

 ただし、色々な目的地に転用するには、そこそこ熟練が必要らしい。

 普通に行ける目的地は、一ヶ所だけで、俺にとってはオオミヤ城にしか行けないらしい。

 やくそうとは、小さな皮袋に入った葉っぱだった。

 王様の宝箱に入ってたのは、このやくそうだったみたいだ。

 この葉っぱを食べれば、体力が回復するらしい。

 どう言う仕組みなのか知らんが、ひとつの皮袋に、八枚入るらしい。

 つまりやくそうの持てる上限は、八枚ってことだな。

 まあ、それを言ったらたいまつも転移の翼も、かさばるから多くは持てないのだが。


 とりあえず俺は、やくそう二枚とたいまつひとつを購入。

 これで持ち金が無くなった。

 後は魔物倒して稼ぐしかない。


 カスカベの街でも情報収集してみたが、オオミヤ城で聞けた内容と大差なかった。

 冒険を中断したいなら、王様の元へ行けと言われた。

 なんか北東方向に、いにしえの吟遊詩人が作ったというカワゴエの村があるらしいので、とりあえず言ってみる事にした。


 つか、こう言う情報って、俺が集めなくちゃなんないの?

 旅立つ前に、教えてくれてもいいんじゃないの?

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