第2話 勇者近くをぶらつく

 階段を降りると、広場になっていた。

 天井はなく、よく晴れた空が見える。

 オオミヤ城の城内広場は、所々壁に区切られていて、自由に行き来出来るらしい。

 後ろをふりかえると、壁の上にプレハブ小屋みたいなのがあった。

 あそこに王様がいるのか。

 なんかしょぼい。


 ここはお城の中だと言うのに、そんな雰囲気はなかった。

 城に支える兵士と言うか、それらしき人の姿が見えない。

 普通の一般人っぽい人の姿が多かった。


 ちょっと城内をぶらついてみた。

 魔法の扉とやらが、三箇所にあった。

 この扉を開けるには、魔法の鍵がみっつ要るのか。

 どこで売ってるんだろ。

 つか、二百円で足りるのか?


 城に居た人たちにも、話しかけてみた。


「魔王が現れてから、この地を魔物がうろつくようになりました。

 ああ、勇者様が早く魔王を倒してくれないかしら。」

「魔王の城は、すぐそこの島にあるらしい。

 だけど海にも魔物が棲みついて、船が出せない。」

「東へ三時間の距離に、カスカベと言う街がある。

 そこで装備を整えるがいい。」

「ローザ姫は今、何をしてるのかしら。

 早く勇者様が救ってくれればいいのに。」

「お外で遊びたいけれど、ママが危ないから遊んじゃ駄目って言うんだ。

 早く勇者様が魔王を倒してくれないかな。」

「よくぞ参った、勇者ウラワの子孫に、光あれ!」

「傷ついたら、街の宿屋に泊まるがいい。

 体力が回復するぞ。」

「ああ、宝物殿の宝箱は、自由に開けていいぞ。

 魔法の鍵を持ってきたヤツならな。」

「何処かの街のはずれで、魔法の鍵を売ってるらしい。」


 広場を小一時間ばかりぶらついてみた。

 なるほど、俺が魔王を倒さないといけない訳ね。

 それなら軍隊でも送り込めよ、と思うのだが、なんで俺ひとりで行かなければならんねん。


 とりあえず俺は、オオミヤ城の外に出た。

 南の方に、海が見える。

 水平線に浮かぶ島が見えるのだが、あそこに魔王がいるのかな。

 この距離なら、オオミヤ城を急襲して、ローザ姫を連れ去るのも容易だな。

 海に魔物がいるなら、こっちから攻める事も出来ないのか。

 どこからか迂回して、島に渡るしかないのか。

 まあ、その事はおいおい考えるとしよう。


 東の方には、街が見える。

 あれがカスカベの街か。

 北の方は高い山が連なっていて、その向こうに行くには、西の方から迂回する必要かあった。


 とりあえず東のカスカベの街でも目指すか。

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