宝石オパールは語る_1 ~黒と白のルースケース~
色石ひかる
第1話 問題編
私は
宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の
「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」
「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」
展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。
ひとつひとつ個性豊かなルースが出迎えてくれた。
「どのルースもきれいで輝いている。オパールはずっと見ていられる」
「オーストラリアは世界最大のオパール産出国です」
「いっぱい取れるのね。手前と棚にあるルースは見た目が大きく異なっている」
「種類の違いです。手前がブラックオパールで棚がボルダーオパールです。一番量が多いのは右側一体にあるホワイトオパールです。種類の違いも楽しんでください」
「3種類もあるのね。まずは手前のブラックオパールから眺めて見る」
ルースに視線をむけた。楕円形状のルースが多かった。
2つのルースが目にとまった。黒色ルースケースと白色ルースケースに入ったルースだった。ルースケースの大きさは片手にのるくらい。両ルースとも楕円形状。ラベルにはブラックオパールと書かれていた。
「きれいな色合いのルースね。見た目も同じような青色ですてきな感じ。両方ともブラックオパールで同じくらいの重さみたい。でも値段が大きく違う。黒色ルースケースは3万円なのに、白色ルースケースは10万円もしている」
「興味のあるルースはありましたか」
「2つのルースにちょっと興味がわいた。手に取って見ても平気?」
「落とさないようにお願いします」
「気をつけて見せてもらうね」
ルースケースに入った状態で、2つのルースを比較することにした。黒色ルースケースから手に取った。
ルースは透明感のある青色で海を思い出した。背面の黒色と相まって海中を散歩している感じだった。角度を変えると青色から緑色に変化した。側面からルースを眺めた。海の底にあたる下側は、砂浜のようにグレー色だった。
「見る角度によって色や光の出方がかわる。オパールは何度見てもあきない」
「喜んでくれてうれしいです。不明点があれば声をかけてください」
「オパールを見ると祝福の時間を過ごせる。もう1つのルースも見せてもらうね」
白色ルースケースに持ち替えた。先ほどと同じ青色だけれど、色がしっかりしていた。すみきった空のように青色が主張していた。横から眺めると黒い岩の上に空が浮かんでいる感じだった。
今度は両方のルースケースを並べた。ラベルにルースの大きさも書かれていた。どちらも8ミリ×6ミリ前後で大差なかった。
細かく見れば同じ青色でも青色の種類は異なった。色が変化する模様は2つのルースで若干異なっている。販売されている、ほかのルースを見た。両方のルースに似た模様のルースは多かった。白色ルースケースの模様が特別貴重ではなさそう。
「価格が3倍も異なるけれど違いがわからない。芽衣子さん、この2つのルースについて教えてほしい」
「両方とも全面的に
「2つとも色合いや雰囲気を楽しめたよ。でも、値段が3倍も異なる理由がわからない。なぜなのか教えてほしい」
芽衣子さんの発言をまった。
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