イタチ小叙
かまきりりゅうご
幕開け
イタチ、あのイタチ。野山に暮らし、愛くるしい姿でありながら小獣を喰らうイタチ。直立不動して僧の如く
イタチが私達の前に姿を顕す。不思議な気持ちになるのだ。ついこの間、街で見たイタチ。真っすぐ伸びたフォルムは路地を突き抜け、民家と民家の隙間にするりと入っていった。
『珍しいものを見た』
一つの感動がそこにはあった。
イタチが人を騙すというのはあまり知られている話ではない。ここ古田の伝承は国中を探しても珍しいと聞いたことがある。イタチは人を騙す。化けて騙す。
私は騙されたのだろうか。その姿は
『イタチは人を騙す。』
今日の日記の一隅に私は注意を書き残しておいた。
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