1話 魔法学校へ行こう

 ユリ、ユーキ、ペンギンのモンペンとペン子らユリ一行はエデンら勇者一行と色々あって別行動であるが共同関係となっていた。


ある日、ユリはいつものように勇者一行のリーダー勇者エデンと通信具を使っておしゃべりをしていた。


『ユリちゃん、皆で魔法学校に行ってみない?』


「魔法学校?どんなところですか?」


『魔法学校は魔法の才能を開花させるのに長けている学校なんだ。アルマが臨時で働くことになったから僕らも少し学びに行こうかなって思って。』


「え、魔法が使えるようになるかもしれないんですか!?行きたいです!ユーキに相談してみます!」


『うん!先に行って待ってるね!』



 通信が終わってすぐ、ユリは銀髪の青年ユーキに魔法学校のことを相談した。


「お前がやりたいなら気が済むまでやってみればいい。」


「ありがとうございます!ユーキも一緒に来てくれますか?」


「当然だ。お前ひとりではそこらの小石で死にかねないからな。」


相変わらず皮肉げであるが着いてきてくれるようである。ユリは「いつもありがとうございます」と笑った。


一行は魔法学校へ向かった。



 魔法学校の門の前には入学志望者が数人並んでおり、学校の看板に『使い魔は一人一匹まで』と書かれている。


門の前に驚くほど綺麗な女性が水晶を持って立っていた。


「私は基礎魔法担当のセレスティアと申します。入学志望の方はどうぞこちらの水晶に触れてください。入学の資格があるか適性検査をさせていただきます。」


セレスティアと名乗るその女性は耳が尖っておりその体は非現実な程に透き通り美しい容貌をしていた。世にも珍しいエルフである。


「わーエルフさん初めて見ましたー。て、え!?適性検査!?聞いてないんですけど!」


自分もユーキも魔法の才能はない。適性検査に受かる自信がなかった。


「受けるだけ受けてみるか。」


ユーキが水晶に触れる。水晶は赤く輝いた。セレスティアが微笑む。


「合格。低級クラスですね。あなたにはまだまだ素質が隠れているようです。訓練次第では他の魔法も使えるようになることでしょう。」


ユーキは難なく合格できた。


「よし、私も!」


ユリも続いて水晶に触れる。が、何も起こらなかった。目を凝らすとうっっすらと赤くなっている気はする。セレスティアが優しく微笑む。


「才能なし。失格です。」


ユリは柔らかな奈落へ落ちていった。




 しばらくした後、ユリ達は作戦会議していた。ユーキの使い魔を誰にするかである。


「使い魔というかお前が行かないなら俺はやめるが。」


「だめです!私のせいで諦めないでください!ていうか、私諦めきれないですよ!」


「だが不合格だろ。」


「嫌です!私は行きたいです!行きたい行きたい行きたい!」


--お嬢、面白いな!俺もやる!


ジタバタと地面に転がるいい年齢をした少女と白い鳥モンペン。状況はいよいよ混沌としてきた。


ユリは駄々をこねつつ器用に周囲を観察する。


ユーキは困ったようにため息を吐き、モンペンはバタバタとしたままである。ペン子だけは何か思案しているようだった。


「ペン子さん!あなただけが頼りです!私を助けてください!」


--んん〜。しかしだなぁ…。


「ペン子さん…お願いします…。」


ユリは涙目で懇願した。


ペン子はさくっと陥落し不思議な魔石をくれる。


--それは『変化の魔石』だ。これを使うと魔物の姿に変身することができる。その男の使い魔としてなら学校に入学することができるはずだ。


「やったー!ありがとうございます!」


「おい、こいつをあまり甘やかすな。」


ペン子は「キュゥゥゥ!?」と目を血走らせユーキを威嚇する。


--貴様!ユリがかわいそうだと思わないのか!この鬼畜が!クズが!一度土からやり直したらどうだこの人でなしが!


「黙れ鳥。」


ペン子とユーキの間で火花が弾ける。モンペンは未だにバタバタと地面に転がっている。混沌とした状況が激しさを増していく。


ユリはそれを始めておいて我先に抜け出していた。


この際学校に行ければ人間だろうが魔物だろうがなんでも良い。


『変化』


ぼんと煙があがる。


目線が低くなりぱちくりと瞬きをする。ユリの姿は人の頭大の水色なペンギンに変化していた。


ペン子とモンペンがおおっと歓声をあげる。


--ユリ、なんて可憐なんだ!君はこれからもその姿でいるべきだ!


ペン子が猛烈に頬を擦り寄せてくる。


--ちょっと食べさしてー!


そこにモンペンが体当たりを決める。ペン子は「キュウウウウ」と叫びながら吹っ飛んでいった。


食われないようにモンペンから逃げ回っているとユーキが抱っこして救助してくれる。


『い、生きてる…良かった…ありがとうございます…。』


「……。」


モフモフ


『ユーキ!?』


「すまん、つい。」


そう言いながらもユーキは手を止めない。ユリは内心一生ペンギンの姿でもいいかもしれないと思った。


ユリとユーキが魔法学校に通ってる間、ペン子とモンペンは家族のペンギン達の元へ帰省することになった。


こうして、ユリはユーキの使い魔のペンギンとして魔法学校への入学を果たしたのだった。





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