kろ

エリー.ファー

kろ

 何かが変わりそうな予感がして、歩き出す商店街。

 いやいや、真夏であっちーなって感じになっちゃう午後二時十二分。

 ミニスカートに合わせた歩幅ってなんだろね。

 太陽の熱ってヤバいらしいね。

 アスファルトがどんな表所をしてても、失って、しまいがちな、思い出とか全部なくしたいの。

 ほーら、嘘。

 ほーらほーら、また嘘。

 だけど。

 今度は本当に見せかけて、嘘。

 まだまだ、だよ。

 まただ、まただ、まーだだよ。

 ギターの先に希望を付けたから見に来てね。

 反省してみたいのに、麦茶に入れる砂糖の味がなんかいや。

 できるかぎり、大事にしてくれたのは分かるけど。

 私以外の人と態度が違うのがなんとなく納得できないの。

 どうしても。どうしても。どうしてもって言うなら。

 今回だけだよ、しょうがないなぁ。

 まただってこと。

 また同じ話だってこと。

 思い出とか、過去はどうとか、どうでもいいってこと。

 ほら、ほら。ほら、ほら。ほら、ほら。

 誰もが、奇跡を忘れている。

 誰もが、何かを忘れないように歩いている。

 私は違うよね。

 このまま、高い香水を二つ買って、それをスカートの下に隠す。

 友達には内緒の話。思い出すたびに繰り返す。

 最高の瞬間だったねって言いたい。

 そうか、そうか、そうか。

 これが老いなんだね。

 あぁ、捲る時だけの若さなんて意味ないね。

 そうだよね。

 じゃあ、これが際のワンターン、いた、ワンクール、いやいや、ワンバース。

 ほら、行くよ。

 絶対が足りない言葉が、今も、自分自身を失わせる。

 今じゃないの。

 この瞬間じゃないの。

 掘り出した思い出に、自分の生き方が見えるような感じがする。

 数字に自分の分身を乗せて、考えを巡らせる。

 これは、泡になっていつか消える哲学。

 もう、夏のことを知って。

 この口は、あっちーな。なんて言わない。

 何も知らないとは、言えない。

 でも、ラムネは大好き。いやいや、ソーダが大好き。

 あれ、ラムネとソーダの違いってなんだろう。

 まぁ、いいか。

 会いたいな。

 誰かじゃないの、私の知らない、あの日に出会えたかもしれない奇跡に。

 今夜だけは花火を見ない。

 味わうこともなく過ぎる世界を愛してる。

 歩幅は少しだけ広くなって、また狭まっていく。

 それが悲しいの。

 私だけじゃない。

 凍えてる。

 あはっ、夏なのに。

 今も覚えてる。

 私たちには、これしかないってことかも。

 ありふれた時間だけが、幸せをくれたんだね。

 ハズレくじを見て、知りもしないお菓子の作り方とか想像してゴミ箱に投げ捨てた。友達はもったいないと言うけど、あれを集めて何になるのか私は分からない。

 もう一回。

 もう一回。

 もう一回。

 よっしゃー、行くぞ。

 一人だけ歩いた帰り道。

 今だけなら、このパンケーキだけじゃなくドリンクも安いらしいよ。

 ふざけた時間の使い方も、今じゃほどよく褒めてもらうための手段。

 ありふれた言葉でもいいの。

 今どこで、何をしてるの。

 早く、連絡を私に頂戴よ。

 苦手な科目も、全部好きになってしまう。

 何もない日々の中で掴む穴の開いた浮き輪みたいだね。

 

 

「解散しちゃいましたねぇ。kろ、いいグループだったと思ったんですけどね」

「まぁ、最近の中じゃ、ずば抜けて良かったよな」

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