【GM用】シナリオ

【オープニングフェイズ】

・シーン1:いなくなった世界 PC①

あなたは毎日悪夢を見ていた。あなた自身が親友に殺される夢だ。

あなたと城所佳紀はT学園の学生である。1か月前あなたは佳紀と同じバスの隣の座席に乗り込んだ。そしてそのバスは横転し、爆発した。何とかガラス窓を割り脱出に成功したあなただったが、先に脱出していた佳紀に腹を刺されてしまう。なにがなんだかわからないあなたに対して、佳紀も自分がしたことがよくわからないという形で両手を見つめていた。あなたの意識はそこで途切れる。

今は放課後の教室である。あれからクラスメイトの顔ぶれは随分変わったように感じるが、誰もそれを話題にさえしていていない。皆自然に過ごしている。

あなたは城所佳紀がどうしているのか気になる。あなたが病院から復帰しても、彼がどこにいるのかはわからなかったし、周りの人はそんな人知らないという態度をとる。

PC①が城所佳紀の名前を出したところで、ワーディングが張られる。PC②、柚木涼香から、視線が集中するところでシーンをカットする。



・シーン2:元訓練生 PC②

昼食時、あなたの端末に連絡が入る。

玉野「元気にしていたか、PC②。私だ、玉野椿だ。」

玉野「はは、元気そうで何よりだ。私の方にもお前の初任務の資料が届いたよ。」

玉野「PC③はとても優秀なオーヴァードだと聞いているよ。いろいろ勉強させてもらいなさい。」

玉野「くれぐれも、私に出したような報告書は出さないように。正式な報告書は、推敲に推敲を重ねて出すこと、いいね。」

玉野椿から激励を受けてあなたは任務に戻るのであった。シーンをカットする。


・シーン3:UGN T学園支部設立 PC③

今回のFHの襲撃は大規模なものだった。高校の修学旅行の車列に春日恭二をはじめとするFHのエージェントが特攻。おそらく元々この学校に通っていたUGNチルドレン柚木涼香を狙ったものだったろうが、激しい戦闘に多くの生徒が巻き込まれ一部が死亡、ジャーム化。事態を収拾するため、あなたと複数のエージェントが派遣された。

柚木「先生はよくやってくださってます。」

柚木「ジャームがたくさん発生する今回みたいなケースで、残った生徒が1つの学び舎で集まれることって稀だと思います。」

柚木「記憶処理班とかにも顔の利く先生のおかげです。」

柚木「そういえば、あれから1か月ほど経ちますが、新規の覚醒者はひと段落した感じですかね。」

PC④が覚醒した可能性のあることを伝える。

柚木「それなら、私が接触してみます。任せてください。」

あなたが柚木に対応を任せたところでシーンをカットする。



・シーン4:あの子の真実 PC④

豊中綾音。あなたの親友は死んでいない。殺されたのだと、記憶がはっきりしてくるうちにそう思えてくる。あなたは先のバス事故で頭を強く打ち記憶があいまいになりかけていたが、最近はそれがかなりはっきりしてきた。

綾音は、人の形をした化け物が伸ばした爪によって切り裂かれたのだと、思い出すたびに、あなたの体が熱くなる。

そんなことを考えていると、柚木涼香に話しかけられた。

柚木「いいかしら、PC④さん。」

柚木「今日の放課後、PC③先生が呼んでいるわ。視聴覚室まで来てくれないかしら。」

PC④が了承したところでシーンをカットする。


・シーン5:ハンター PC⑤

あなたはジャーム専門の狩人である。FHの作戦行動などで一般人の間に被害が広がった時も、一般人にジャーム化したものが出れば、容赦なく狩っていく。

ただし最近の上司、日本支部長の霧谷雄吾はジャームをできるだけ生け捕りにするように命令をしてくる。

霧谷「理由を明かすことができなくてすみません。PC⑤さん。このことはUGNの中でも微妙な扱いの情報なのです。万が一にもFHへ情報が漏れるとまずい。」

霧谷「PC⑤サンは大丈夫でしょうが、近頃はUGN内にも裏切者がいると聞きますし……」

霧谷「代わりと言ってはなんなのですが、少し休暇などいかがですか?いつでも即応体制でいるのは神経を使うでしょうし、K県K市なんてお勧めですよ。」

霧谷「そうですか。では、休暇の件はまた今度にいたしましょう。」

霧谷と通信を切ったところでシーンをカットする。


【ミドルフェイズ】

・シーン6:レネゲイドの世界 PC③

PC②ははじめから登場。

舞台は1か月前。K府某市。小雨が降る中バスが2台編成でやってくる。夕暮れの道、辺りは林でとても寂しい、人気のない道路だ。

PC③は1か月前を思い出して、報告書からそこでどのような事件があったかを再現しようとしている。PC②はその場にいた他のUGNエージェントとしてのカメオ出演である。

春日恭二が対向車線からはみ出し黒いリムジンでバスに特攻を仕掛ける。バス、車、合計3台が絡む大事故に発展、PC①、PC④はこの前後に相次いで覚醒し登場、佳紀はジャーム化し、綾音はFHエージェントによって殺害された。PC⑤が現場に到着し登場した時点で、戦闘を開始する。


本戦闘は回想シーンであるが、浸食率の上昇は通常通り行うこと。

エネミーは春日恭二1体、FH戦闘員(射撃)×2である。

初期配置は春日恭二を中心に上下に独立して戦闘員を配置、各エンゲージからPC達のエンゲージが10m離れている状態である。

勝利条件はエネミーの全滅である。


春日「私は春日恭二だ!貴様らを地獄に送るものだ!冥途の土産におぼえておけ。ハーハハハハ!」

攻撃時

春日「俯仰不屈!これこそ私の全力全開だ!」

被弾時

春日「この程度……かすり傷だな。」

敗北時

春日「ま、また作戦失敗か。わ、私はこんなところでは終わらんぞー!」


エージェント「学生の中に覚醒した者がいるぞ!とりあえず全員に早く鎮静剤を打つんだ。」

直後PC①とPC④は腕に痛みを感じそのまま意識が混濁する。

エージェント「ひとまずはこれでよし。事後処理班を呼んでくれ。」

事件現場の事後処理が始まり、PC③の意識が現在に戻っていくことでシーンをカットする。



・シーン7:任務遂行 PC②

PC①は強制登場。

あなたは同じクラスのPC①の口から城所佳紀の名前を聞いた。それは存在しない生徒の名前だった。正確には存在しなくなったから、UGNがその名前を聞いたらワーディングを張って、対象者の記憶を調べるように命じた者の名前だった。

しかしワーディングを張ったはいいものの、名前を発したPC①は目の前にいる。無力化できていないということはオーヴァードに覚醒しているのだろう。なんとか場をつながなければ。

PC②がロールプレイを頑張ったところで、ワーディングに気づいた柚木涼香が登場。

柚木「それなら、PC①も放課後に視聴覚室に来てもらいましょう。丁度PC④もよんでいるわ。」

3人が放課後視聴覚室に集まることに同意したところでシーンをカットする。


・シーン8:世界の真実 PC④

PC①、PC②、PC③は強制登場。

PC①とPC④にオーヴァードとはどんなもので、UGNは何をする組織なのかを説明するシーンである。柚木と通信で参加する霧谷が大体のことをかくかくしかじかで説明してくれる。

霧谷「あなた方2人は、1か月前のバス事故で覚醒された可能性が高いです。」

霧谷「あれは単なるバス事故ではなく、FHによって計画された襲撃でした。周囲で激しい戦闘も行われましたから、レネゲイドウイルスも活性化しやすい状況となっていたことでしょう。」

霧谷「2人にはこれからオーヴァードとして生きて行ってもらわなければなりません。頑張っていってくれますか。」

霧谷「今はそれでいいでしょう。」

霧谷「さて。他の皆さんも今回の事件ですが、春日恭二を裏で操っていたエージェントがいることが分かりました。“アイソレイテッド・ポーン”というオーヴァードです。」

霧谷「こちらを調査するうえでの協力者をご紹介します。まずPC③さんはご面識がありますね、PC⑤さんです。ジャームの狩りを専門にされています。続いて今回の情報の提供者のPC⑥さん。お2人にも連絡を取ってみるといいかもしれませんね。」

PC達が連絡を取り合ったところでシーンをカットする。


・シーン9:狩るもの狩られるもの PC⑤

あなたの下にはT学園支部からの協力要請が来ていた。

PC③登場。

PC③からT学園支部への協力を要請される。また、霧谷から近々“アイソレイテッド・ポーン”というFHエージェントがUGN日本支部に大規模な攻撃を行うことが示唆される。

霧谷「今しがた情報屋から、“アイソレイテッド・ポーン”というFHエージェントが、UGN日本支部に攻撃を計画しているという情報が入りました。」

霧谷「PC③さんのT学園支部は発足して日が浅いですから、守りを固めないといけません。」

霧谷「PC⑤さんも協力してくださいますか。」

PC⑤は“アイソレイテッド・ポーン”の襲撃が、最近霧谷が隠している何かと関係しているものなのではないかと考えてもよい。


回避判定を求めます。 回避:9 命中した場合2Dのダメージ


銃声がして2人が座っていたところに大きな穴が開いている。ふと振り返るとそこには人影がある。顔は暗くて見えない。

ポーン「誰かが私のことを霧谷に告げ口したのですね。」

ポーン「次はありません。この件から手を引きなさい。」

ポーン「あなたは霧谷のやり方に疑問を持っている。」

ポーン「少し手緩いのではないかしら?わたしならもっと強硬手段に訴えますけど。」

ポーン「いずれにせよ、お2人とも、もう二度と会わないことを祈りますわ。それぞれの役割に邁進なさいますよう。」

そう言うと人影は去っていく。PC③とPC⑤が取り残されたところでシーンをカットする。


【情報収集フェイズ】

・a-1城所佳紀について

情報UGN:7

城所佳紀はT学園高等部に在籍した学生である。スポーツ万能の活発な青年であったがK府でのバス事故にてキュマイラ/サラマンダーシンドロームを発症。覚醒の際の衝動に耐え切れずそのままジャーム化した。理性を失いPC①の腹を貫き死亡させ、PC①の覚醒のきっかけを作った。現在は霧谷雄吾の管理下にある。


・a-2霧谷雄吾の管理下

情報軍事:11

霧谷雄吾はK県K市にある防衛隊の海上基地の地下を使い、ジャームとなった者の冷凍保管設備を運営している。霧谷はジャーム化してもある一定の人権は守られるべきだと考えており、一律に処分してしまうのではなく、無害化したうえで元に戻す方法が見つかるまで保管している。城所佳紀も現在はここに収容されている。


・b-1柚木涼香について

情報UGN:7

柚木涼香はT学園高等部に在籍する学生である。元々UGNに幼少期から教育されたUGNチルドレンであり、コードウェル博士が主催した交換留学事業に選ばれるほど優秀。しかし、友達作りは苦手なようで霧谷雄吾の方針によってその克服のため普通校に通っている。彼女も1か月前のバス事故に遭遇しているが、なぜか彼女の戦闘の記録がない。


・b-2柚木涼香の戦闘の記録

情報裏社会:9

彼女は戦闘には参加していない。正確には無抵抗な学生に対してオーヴァードの能力を行使しており、積極的に覚醒を促そうとしているように見える。その過程で城所佳紀にも豊中綾音にも攻撃を加えている。

・c-1豊中綾音について

情報UGN:7

豊中綾音はT学園高等部に在籍した学生である。本が好きな女子学生であったがK府でのバス事故にてソラリスシンドロームを発症。覚醒の際の衝動に耐え切れずそのまま死亡したと思われていた。しかし実際はFHエージェントの手にかかっており、PC④の覚醒に大きくかかわった。


・d-1“アイソレイテッド・ポーン”について

情報裏社会:9

FHのエージェントで部下を用いることがほとんどないことからこの名がついた。今回コードウェル博士から春日恭二を借りたことはレアケース。各地でジャームを増やす活動をしている。K府でのバス事故も彼女の仕業。


・d-2“アイソレイテッド・ポーン”の目的

情報裏社会:11(a-2、b-2も開示済みの必要あり)

彼女の正体は柚木涼香であり、コードウェル博士についてUGNを裏切っていた元UGNチルドレンである。彼女の目的は霧谷雄吾がK県K市沖で運用中のジャーム保管庫を強襲して、日本全国から集められたジャームを世に解き放つことである。当然であるがそんなことが起こればUGN日本支部は一夜で壊滅する。


【トリガーシーン】

・シーン11:向き合うもの PC①

PC⑤は強制登場。

他のPCは自由登場とする。

K県に飛ぶ防衛隊のチャーター機の中、あなたの目の前にはPC⑤がいる。佳紀を捕らえ佳紀を閉じ込めたものだ。本人はそうなるとは知らなかったらしいが、もっと悪くすれば佳紀を殺すつもりだったのかもしれない。

戦いが迫るこの時間、ガタガタという飛行機が風を切る音だけが響き渡る。もやもやした感情があるのなら解決しておいた方がいいだろう。

シーンをカットする。



・シーン12:プロモーション マスターシーン

PCの登場は禁止。

コードウェル博士がどこかの薄暗い教会に座っている。ステンドグラスの明かりが鈍く光る。

コードウェル「我がもとに来たれ。あの日私はそう宣言した。多くの者が悩んだようだが、柚木涼夏は私のもとに来ることを選択したようだ。」

コードウェル「彼女は優秀なチルドレンだったが、孤独を好んだ。私が皮肉ってつけた“アイソレイテッド・ポーン”という言葉の意味を彼女は知っているのかな。」

コードウェル「浮き駒だ。得やすい駒だと私に指摘されたからなのか、彼女は1人で作戦を行うのではなく、私に部下を借りるようになった。今の彼女は手強いぞ。」

コードウェル「“アイソレイテッド・ポーン”がジャームの軍隊を率いて、クイーンにプロモーションするのは近い。」

シーンをカットする。


【クライマックスフェイズ】

・シーン13:それはまるで冥王星のようで PC①

全PC強制登場。

降り立ったK市の防衛隊基地は静かだった。既にワーディングが張られている。全く人の気配がしない。地下への扉はロックされているが、事情を話すと霧谷はロックを外してくれるだろう。

そこは極冠の世界だった。レネゲイドの力で人工的に氷を作り、区分けし、その中に1人1人、一体一体ジャームが収められていた。墓だ。ここは巨大な墓を思わせる暗い場所だった。

突如けたたましいエンジン音がする。外苑に水しぶきが上がり水上バイクが乗り上げる。

柚木「壮観ね。」

柚木「霧谷ったら、私の兵隊をこんなに集めてくれるだなんて。」

柚木「正直あなたたちはここまでたどり着けるとは思ってなかったの、だから褒めてあげる。そして私の全力で潰してあげる。」

柚木「皆もジャームにして、私が手綱を握ってあげるわ。」


戦闘開始。

衝動判定を行う。

衝動判定

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。

戦闘配置はPCをひとまとまりにし、そこから10m離れた地点に涼夏をおく。

勝利条件はエネミーの全滅であり、エネミーとは戦闘中に呼び出されたものを含むPCと敵対するNPCすべてとする。


柚木「コードウェル博士の期待した世界。私がそれを創ってみせる。」

戦力増員時

柚木「オープニングね。コマを並べましょう。」

攻撃時

柚木「小手調べね。これをかわせるかしら。」

イリーガル・ムーヴショット時

「これが私の全力、イリーガル・ムーヴショット!」

被弾時

柚木「アタタ。ブランダーね。反省だわ。」

鏡の盾時

柚木「ディストラクション、お返しします!」

シャッフル時

柚木「エクスチェンジ・アップね。私の方が上手みたい。」

魂の錬成時

柚木「チェックメイトはまだ早い、よね。」

敗北時

「ツーク・ツワング……私の負け?」


バックトラックを行い、シーンをカットする。


【エンディングフェイズ】

・シーン14:アンダーテイカー PC⑤

今回の事件の首謀者“アイソレイテッド・ポーン”柚木涼香もジャームである。あなたには彼女をどうするかの決定権がゆだねられている。もちろん霧谷と相談することもできる。

霧谷「私としては、他のジャームと同じように冷凍させていただいて、ジャームの治療法が見つかったのちに、しかるべく裁かれるべきと考えています。」

話がまとまったところでシーンをカットする。



・シーン15:支部解散式 PC③

事件の事後処理が終わり、あなたがT学園を後にするシーンである。他のPCを出演させてにぎやかに送り出してもらってもよいし、一人静かに立ち去ってもよい。

あなたが学園を去ったところでシーンをカットする。



・シーン16:教官からの褒め言葉 PC②

あなたの端末に通信が入る。

玉野「話は聞いたぞ。予想よりも難しい任務だったみたいだな。」

玉野「報告書も見させてもらった。及第点といったところだな。これからもこの調子で頑張れよ。」

玉野からの励ましを背に、あなたが次の任務に向かったところでシーンをカットする。


・シーン17:そこに君はいなくて PC④

舞台は最終決戦の直後に戻る。

氷の海を何度探しても綾音の姿はなくて、霧谷に検索してもらっても見つけることができなくて。それでもあなたは生きていくしかない。綾音の仇を取ったという事実とオーヴァードになった体を抱えて。

シーンをカットする。



・シーン18:そこに君はいるのに PC①

舞台は最終決戦の直後で続く。

氷の海を隅々まで探すと、佳紀が半分異形化した腕を抱えるように氷の中に横たわっていた。霧谷によれば深い睡眠状態で意識はないらしい。あなたは今の彼にどんな言葉をかけるだろうか。いずれにせよ、彼を迎えに来られるのは長い戦いの果てに、自分がまだ正気を保っていられた時だけなのだ。

シーンをカットする。



獲得経験点:シナリオをクリアした…10点

以上

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