第10話-新たなる予感

体育祭実行委員がめんどくさいとは言っても実はそこまで仕事が多いわけではない。やる種目は学年ごとに教師陣で決めてしまうからやる種目の順番などを決めて体育祭のプログラムを作ったり練習する時や本番にみんなに指示を出したりするのが主な仕事になってくる。

まぁ、だから頑張ろうと思えば全然出来る量なのだ。

……頑張るかは別として。


そんな事を考えていればもう昼休みだ、時の流れって早いよなやっぱ。

「よし、隼人。飯食おう。俺と飯を食えば貴様の命は助けてやる」

「お前と飯を食えば俺を助けてくれるのか、、!?」

「あぁそうだ。食えよ…早く食えよ…」

「だが断る」

「なにィっ!?」

「この夢見隼人の最も好きな事のひとつは自分で強いと思っているヤツに『NO』と断ってやることだ…」

「よし、じゃあ食うか」

「おう、そうだな」

隼人はイケメンだがオタクだ。だからこういうノリにもついてくる事ができる。これが残念イケメンというやつだろうか。いや、全然残念じゃなさそうだなコイツ、彼女もいるし…


「ところで音よ」

「どうした隼人」

「体育祭実行委員お疲れ様!」

「疲れるも何もまだ始まっていないんだが??疲れたけど」

「疲れたのかよ…一体何があったんだ始まってもないのに」

「それお疲れ様って言ったお前が言える事か??あ?」

「なんでちょっと喧嘩腰なんだよ」

「今日からヤクザになろうかな」

「じゃあ俺は警察だな、警察の方が強いし」

「あれだろ、それ、ヤクザの事務所のドアガチャガチャしながら「はよ開けんかいゴラァ!」とか言ってるやつだろ」

「そうそう、「大阪府警だ!」とかじゃなくて「大阪ァ!」って言ってるやつ」

「警察の恐ろしさを知れるよなアレ」

「そういう事で実行委員頑張って下さい」

「一体全体どういう事だ」


うんうん、今日も母さんの弁当は美味いな。隼人の話なんて付き合ってらんねぇよな。

「そういや、今日から実行委員あるんだろ?」

「ん?そうなのか?」

「そうらしいぞ、週一で実行委員全員集めて会議するってやつ」

「あーー、そんなん聞いた気がするなぁ…」

「だから今日は雪ちゃんとは帰れないな」

「グハァッ、愛しのマイエンジェルである雪と帰れないとは……」

「いや、お前のじゃないだろ」

「そんな事はどうでもいい…!」

「いいのかよ、まぁ、そういうことだ。頑張れ」

「そんな事があってたまるかぁ!!!」


とは言っても時間は過ぎてゆくもので

「ついに来てしまったか、、」

今は放課後だ。そして俺は会議室の前に立っている。さぁ、どのタイミングで入ろうか…目立ちたくないんだよなぁ…

「あら、どうしたの?緑坂くん」

「あっ、あぁ、なんだ黒木さんか…」

驚いて声裏返っちゃったよびっくりしたー…

「そんなに驚かなくてもいいじゃない…入らないの?」

「いや?入るよ?うん、入る」

そういって俺はサッと黒木さんの後ろに並ぶ。

フッ…どうだ。これが最終奥義ドラクエウォークだ。いや、アプリ名じゃないぞ。某ドラクエって歩く時仲間が主人公の後ろに並ぶじゃん?あれと同じ歩き方をする事によって前の人に注目が行くから後ろの人はそこまで気にされないという技だ。どうだ?すごいだろう。


「「失礼しまーす」」

そう言って会議室に入る。俺だったらここで失礼なら帰れ!って言うけどな。ま、嘘だけど。


中に入ると半分くらい人が居た。つまりもう半分の人が来るまでこの空気を耐え切らなくてはならないのだ。さぁ、地獄(?)の始まりだぜぇ!

と、よくわからない事を考えていると隣から声がかかる。

「あれ?音先輩じゃないっスか」

「お前は…!中学校からちょくちょく絡んでいる学園スートップと同じくらい可愛いと言われている後輩の鳥飼小春とりかい こはるじゃないか」

「なんでそんな説明口調なんスか…」


はぁ、小春コイツも実行委員だとか…ただでさえ面倒臭い実行委員が更に面倒臭く感じられるぜ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る