私の彼は元宝石強盗!

katsumi

第1話 前編

私は雨の中、彷徨さまよった。私はたった今騙されたことに気づいた。

私は彼を愛していた。物腰も柔らかく、頭もよく、それでいて気が利くそんな彼から私の全財産を巧みに奪い姿を消した。

今の私の財布の中にはもう1万円札1枚どうして生きてゆく?


私は人が少ない駅に到着した。彼は車椅子に乗っていて、年齢は40代くらいだろうか?それでいて絵を描いている様子だった。


私はその彼に近づいた。

「どうなされましたか?」

優しく私に問いかけてくる。私はその彼が描いている絵を見た。それは鉛筆1本で描いている風景画凄く上手い。

私はそれを見て聞いた。


「それ、いくらになりますか?」

「あっ、ええコレは1000円になります」

「このお金、私の全財産。これ差し上げます。だから話を聞いてほしい」


これが私と彼との出会いだった。彼は事故で両足を大怪我して動かなくなってしまい、今の車椅子生活になった。


早速幼馴染の友人、可奈かなにも彼のことを相談した。

「彼ね、すごく格好良くて、それにとても言葉にも気遣い出来るような使い方するし、物腰だって柔らかいの!」


「ちょっとまって絵里それこの間の彼とタイプ一緒じゃない?気をつけなよまた騙されるわよ」


「確かに、でも大丈夫よきっと彼は悪い人じゃないと思うの!それに私の全財産といった1万円彼は受け取らなかったのよ1000円だけ払ってあとは私の話を親身に聞いてくれたの」


私は可奈に彼が描いた絵を見せた。

「確かに上手いわだけど、この風景画なんか見たことあるような・・・」


「そりゃそうでしょう。これねうちの近くの駅から描いた風景画だもん」

「いや、そういう意味じゃなくて・・・」

可奈は何かを思い出しているような顔つきだった。でも今は思い出せない様子だった。


この風景画というのはビルオフィスが1つあり、街の通り道には様々なお店が立ち並んでいる。


そして車も何台か描かれていて、信号機や人や細部にわたるところまで、そしてまるでモノクロの写真で撮られたようなそんな風景画だった。


◆◆◆


私は今日彼と会うことになった。彼の住む近くの大きな公園で私は車椅子を押して出かけて話すことにした。

「渡辺さん、絵とても上手ですね何かしてらっしゃったんですか?」


「僕は大学生の頃、美術に興味を持ってね。それで色を使うものよりもこの鉛筆で描かれているものにすごく魅力を感じてそれから絵を描いていたんだ」


私は渡辺さんの話にとても興味を持ち、それからずっとその話を聞いた。話を聞くうちに私はさらに興味を持ち、そして私はあるお願いを渡辺さんにした。


「渡辺さん、これを描いてくれるかな?」

そう私が今は亡き母からのプレゼントで貰ったもので、綺麗な赤色に輝くルビーの指輪。これを描いて欲しかった。

「これは7月の誕生石だね。しかもこれは情熱、純愛という意味もあるんだよ」

「わぁぁ。知っているんですね」

私は渡辺さんの言葉に感動した。

「えぇ、たまたま知っていただけですよ絵里さんにピッタリだ。でもこの指輪・・・」

「えっ?」

と、私が聞き返すと。

「いえ、何でもありません。綺麗ですね」


そして私は渡辺さんにこれを描いて貰った。

「凄い本当にモノクロ写真のように描かれていて感動的。私、あなたと一緒にいたい」

「でも、僕は足がこんなんだからきっと君に迷惑がかかる。だから一緒にはなれない」

「だったら、私が渡辺さんの足になるよ。だって私渡辺さんと一緒にいると心が温まるんだもん」

私はより一層渡辺さんに惹かれてゆく。

「絵里さん・・・」


私は渡辺さんとその後も話してそして家に帰った。

ところがある日、私に事件が起こる。



ー続くー








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