ミチトの結婚。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~
さんまぐ
第1話 ある夏のHELP。
初夏、ミチトは7歳になったタシアと遊びながら5歳のラミィとも遊び、3歳のシア、フユィ、ジェードを抱っこしている。
その顔は楽しそうでいて不満も何もないどころか、術で何とかするからと言ってまだ2歳のトゥモとロゼにしても「俺が見るからリナさんとライブはコードとベリルの面倒を見てくれればいいし、アクィとイブはのんびりしていなよ?」とやっている。
妻達は「全員ミチトに見てもらうのも変だって」「本当よ、皆ミチトと私達の子なのよ?」「ミチトは無茶しすぎだよ」「そうですよ?」と言っている。
「えぇ、別にいいのに」
ミチトは呑気にそんな事を言いながらシア、フユィ、ジェードをお手玉のように高い高いをして、ラミィから「パパ!ラミィを捕まえて!」と言われてラミィを追いかけ回しつつもタシアから「お父さん!競走して!」と言われてダッシュでラミィを捕まえてから別方向を走るタシアを捕まえていた。
そして妻達といるメロを見て「メロは何して遊ぶ?」と聞くとメロは「パパ…、メロはママ達のお手伝いするから平気だよ?」と答えるとミチトは心底悲しげな顔をして「えぇ…、寂しい…」と言った。
メロが「寂しいの?」と聞き返すと即答で「寂しいよ」と言ったミチトがそのまま「メロは俺の娘なのにもう遊んでくれないの?」と聞く。
「うぅ…、なんとなくパパを追い込んでるみたいで遊びにくいんだよ」と言ったメロは結局ミチトと遊ぶ事になり、ミチトは訓練と遊びを混同させた。
タシアとラミィにはミチトに張り付かせたまま、お手玉高い高いを続けるシア、フユィ、ジェードの誰か1人でもミチトから奪う形で抱っこできたらメロの勝ちと言う遊びを始める。
メロも熱が入ると「滑走術!軽身術!身体強化!」と言って飛び掛かって何とかアクィの娘のフユィに狙いを絞って奪おうとするが「おっと…、今のは危なかった。メロはまた速くなったね!」とミチトは嬉しそうに回避してメロは「もう!パパってば!」とムキになって追い回す。
ジェードは「メロー!頑張ってー」なんて言いながらメロに手を伸ばしてみるがそれも叶わない。
1時間続けてメロがダウンしたところでこの遊びは終わりになる。
ちなみにタシアとラミィはお互いに負けられないと1時間ミチトにしがみつく荒技でポテンシャルの高さを見せつけていた。
リナはミチト達が遊んでいる間に昼食を作っていて皆で昼を食べているとミチトが「ん?あれ?朝は無かったのに…。なんだろう?」と言うと「今ご飯食べてるから少ししたら行きますね」と何処かに声をかけて「ちょっと食べたら出てきます」とリナに言う。
「どうしたの?巡回?」
「えぇ?この時間ってローサさんじゃないよね?」
「ティナさんとかソリードさんでもないですよね?」
「王都ね。アプラクサス様達?…あら、珍しい、何事かしら?」
アクィがミチトのように目を金色に変えると驚いた顔をする。
「アクィ?」
「イイーヨ君とアガットがアプラクサス様の所でミチト宛てで「相談に乗ってください」って書かれた紙を持ってるわ」
アクィの説明にミチトが「うん。だから食べたら行ってくるよ」と言うとイブが「マスター、すぐに行かないんですか?」と聞く。
ミチトは「うん。深刻そうでもないし。それよりもリナさんご飯の方が大事」と言ってしっかりと残さず食べると子供達をローサの所に連れて行って「じゃあ、マナーの練習をお願いしますね」とローサに言う。
ローサは嬉しそうに両手を広げて子供達に「はい。皆さん。こんにちは」と言い、子供達も教わった仕草でローサに挨拶をして、出来の良さにローサはニコニコとしながら「ミチトさんは?」と聞いてくる。
ミチトが断る事はわかっていてあえて聞いているので普段通りの返事を待つが、「今日は本気でパスです。なんかトラブルなのかアガットとイイーヨさんに呼ばれたんですよ」と言う。ローサは想定外の内容に「あら?それは行ってあげなきゃダメな奴ね」と言って子供達に「今日のお父さんはお仕事ですからお見送りをしましょうね」と声をかけて子供達は「いってらっしゃい」とミチトを見送った。
ミチトは王都に向かうと直接アプラクサスの家を目指す。
アプラクサス達は皆仕事で出払っていて、イイーヨとアガットだけがミチトを待っていた。
「マスター!」
「すみません」
本当に申し訳なさそうに謝ってくるイイーヨとアガット。
「どうしたの?そんなに困るなんて珍しい」
ミチトが探るように聞くとイイーヨはここでは話しにくいからトウテで話せないかと言い、アガットはリナ達にも相談したいと言うのでミチトはトウテに2人を連れて行く。
模式達の悩みという事でライブは真剣な顔で「言いな。何があったの?」と聞くとイブ達が「もうすぐ結婚ですよね?その事で何か言われたんですか?」「許せないわ!何があったの?言いなさい!」とムキになり、リナがお茶を出しながら「ほらほら、2人のペースに合わせてあげて、話を聞きなって」と言って落ち着かせる。
真っ赤になったアガットな俯き、イイーヨは真剣な面持ちで「他言無用でお願いします!」と土下座を始める。
これはいよいよ何かあると思ってスイッチの入ったミチトは「言って、言うんだ。俺がなんとかするよ。大丈夫。俺はマスターで器用貧乏だよ」と言う。
今なら敵対する連中の名前を言えば一族郎党の根絶やしも容易い事だが話は全く違う。
「俺達…婚前旅行でも無いんですが、リミール様がウルトラデラックスハイパープレミアムスイートっていうマスターの別荘に酷似した部屋を取ってくれて泊まったんです」
この言葉にミチトは怒気よりも嫌な気持ちが前に出てきてしまう。
そもそもウルトラデラックスハイパープレミアムスイートにはいい思い出はない。
かつてシックの暗躍でミチトとアクィはあの宿に一泊して、故カスケード・キャスパーの策略で違法薬物ロエスロエを仕込まれ、アクィが酷い中毒になり一晩中治療して助けた。
そして王都に別荘を建てられた時、モバテ・チャズのお節介で部屋の間取りは見事にウルトラデラックスハイパープレミアムスイートと同じにされていた。それは暗にイチャイチャ子作りしとけと言われているようで、ミチトはなるべくその事を考えないようにしていた。
「そこで…婚前ではありますが…私とイイーヨさんは…結ばれました…」
そう言うアガットは真っ赤になって俯いている。
なんとなく婚前の性交渉で何かあった事は想像できる。
それがアガットを人買いから買い取って汚したエグゼの痕跡でも見つかったのか、はたまたイイーヨの男性機能に問題でもあったのか、色んなパターンを想定しながら慎重に話を聞く。
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