駄菓子屋さんのお姉さん

花沢祐介

プロローグ

 毎年、夏が来ると思い出す。


 青空。

 自転車。

 坂道。

 駄菓子屋。

 バニラアイス。

 そして、山田さん――。


 山田さんというのは、僕が通っていた駄菓子屋さんで店番をしていたお姉さんで、髪が長くて大人っぽい雰囲気の女性だった。


 僕の初恋の相手はその山田さんなのだが、あることをきっかけにあっけなく失恋した。


 あれは、僕が中学二年生のときのこと。

 今思えばありふれた出来事だが、当時の僕にとってはあまりに衝撃的だったのだ。


 そんな、ひと夏の想い出話である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る