3章:クラス対抗試験
第18話 カジノへようこそ
名探偵育成高等学校地下カジノ。地下6階の超大型施設でお金に困った学生の終着駅などと言われており、ルーレットやブラックジャック、ポーカーなどのゲームは勿論、この学校独自のゲームがあるとかないとか……。
「随分ずかずかと入っていけるな。さては久遠、お前……」
「黒澤先生とかと一緒にしないでくれる? 前に言ったはずでしょ、敷地内の施設全部見たって」
オレはとある要件で久遠に誘われて放課後この地下カジノを訪れていた。この学校の教育方針はまだはっきりとは分からないがこのカジノはオレたちにとって必要だから存在するということなのだろう。
「制服で入るとなんか悪いことしてるみたいだな……よく知らないんだが未成年はアウトなんじゃないか? こういうの」
「さあ? 日本の法律とこの学校のルールは別ってことでしょ」
「……まあな」
しばらく歩いて奥の方に進んで行くと同じように制服を着た生徒たちが各々ゲームにマネーを賭けていた。
「ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」
あの学生はどうやら全額賭けたゲームに負けたらしい。必死にディーラーに言葉にならない叫びをぶつけている横を静かに横切る。
「……おい久遠、ほんとに大丈夫なのか? 世界観間違えてない? あの学生、登場する作品間違えてない?」
「うるさいわね! 賭けってのはそういうものでしょ。大きな見返りにはそれなりの条件と覚悟が必要、そして実力の無い者は搾取される」
「そもそも実力があるやつはこんなとこ来ないんじゃないのか?」
「……そうかもね」
「で、なんでまたこんな所に。そろそろ要件を言ったらどうだ?」
久遠はいきなり立ち止まりそのまま答えた。
「呼び出されたのよ、クラスの黒牙くんと神宮寺さんに」
「リーダー会議でも開くのか? 千藤も呼ばれてるのか?」
「さあ? ただ嫌な予感がするわ」
奥の部屋の前に立っていた黒服にVIPルームに通されると既に黒牙チーム、神宮寺チームの全員が集まっていた。各々の手にはトランプが握られていた。
「千藤チームは仲間外れか?」
久遠が黒牙に聞くと黒牙はトランプを置いてこちらにやってきた。
「きっともうすぐ来るよ。どうだい? 久遠さんと天道くんも一緒にババ抜きでもしないか?」
「…………」
久遠は腕を組んだまま黒牙と奥からこちらをにやけて見つめていた神宮寺を睨みつけていた。
「要件を言えと久遠は言ってるようだ黒牙。まず、今日はチームのリーダーだけ呼ばれたんじゃないのか? 久遠チームはオレ以外誘ってないみたいだが」
「呼んだのはリーダーだけだよ。でも4システムは団結力、いついかなる時も一緒にいてもメリットはあってもデメリットにはならないだろう? それとも……」
「私たちは団結力がないの!」
むきになるなよ久遠……。リーダーには煽られ耐性も必要だと思うぞ。
「今回は君たちに提案をしに集まってもらったんだ。中間試験での結果は結局クラス順位は分からなかった。だからそろそろ学校側もクラスの順位が明確になる何かをこちらに提示してくるはずだ」
「クラスの団結力が必要になってくるってことね。でも私たちのチームは中間試験であなたたちのチームを出し抜く形になってしまった……。何かで納得する条件をこちらが……ってこと?」
「何も久遠チームに復讐をとかではないんだ」
「まどろっこしいわね、私が説明を変わるわ」
神宮寺が今度はこちらに来て久遠とオレを奥のトランプが広げられた台の前に座らせられた。
「私のチームは別に今回の件は気にしてないし、前のQ.E.Dはむしろ感謝してる。それでね試験の後にチームで話し合ってカジノでお金を増やそうとしたの」
「まさか勝ったの!?」
「そうよ。うちの遠藤くんは運が強いのです。勝った金額は60000」
「「!?」」
6万まじかよ。一気にクラス1位、学年1位まであるぞ。運は実力を凌ぐってのはあながち間違ってなさそうだ。
「それを私たちは団結を条件に分配しようと思ってるの。この6万を隠してクラス1位にはなれても団結は崩れ、学年1位にはなれない」
「分配……1万5千円を4チームに!」
「そう。それで団結が条件」
はぁなるほどな。なんとなく神宮寺の言いたいことが分かったぞ。団結に納得しないチームがいる、おそらく久遠チームの出し抜きリードを許さなかった黒牙チームか千藤チーム。そのさらなる条件として提示されたのが……。
「久遠チームのみ、今から行うゲームで1万5千円を手にするかしないかを決めてもらうことになりました」
「……それで他のチームは平等、団結を認めたってことね。そのゲームで負けた時に1万5千円はどうなるのかしら?」
「私のチームのポイントにそのまま。ね? 黒牙くん」
「ああかまわないよ」
久遠はジョーカーのトランプを手に取り、ゲームの詳細を聞いていた。
成長したな久遠。ここは乗るのが正しい。そしてこれは負けたほうが今後の関係の回復は早いが……。
「ゲームはババ抜きか大富豪。好きな方を選んでいいよ。参加するのは久遠チームの2人と黒牙くんと私。さっさとゲームを始めましょう?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます