アルオルミル 制度解説 ネタバレあり
ヴェニスQ.!O
第1話
ある日、ジャクナの町の領主に子供ができた。念願の長男だった。
今までは女ばかり生まれそろそろ跡継ぎが生まれないと婿養子を取らなくてはならないと思い焦っていたところにこの一報であった。当主、家来はもちろん領民までもが喜んだ。しかし、生まれてきた子供の髪は白かった。この子供には魔力がないのだ。
領主は慌てた。
『白髪=魔力なし』と言うのはこの国の貴族の当主のみが知ることで、周りにいるメイドや執事は知ることのないことである。領主は小さな領地を持つ爵位は低いがれっきとした貴族であり、貴族と平民を分ける基準が魔力の有無なのである。この子が大きくなればその事実を知ることになってしまう、そしてこの国では生きにくくなってしまうであろうことは明白である。
領主はこの息子、いや元息子に興味を失い、殺そうと考えたが生まれてきてしまった以上1つの
神殿の役割は彷徨う仔羊の保護(孤児院)、ステータス開示、祈祷等である。
イノンが神殿に預けられ早十数年が経過した...
彼は神殿内にある孤児院の中で、最年長である12歳となった。
孤児院を出るなくてはいけない彼らは、13歳となると多くは冒険者見習いとなり、またある者は商人見習いとなったりとさまざまである。
何故多くの者が冒険者になるかといえば、冒険者になるために必要な技術、知識を蓄えるための研修期間があり、誰にでも冒険者組合は共同宿舎を提供してくれるのだ。イノンもまたその例外ではない
「イノンよ、あと一年で卒院ですね。何になりたいか考えましたか? あなたは物覚えが良く、何にでもなれると思います。時間はまだあるのでじっくり考えてくださいね」
「はい、神父様。実は僕、小さい頃からの夢があるのです」
「それはなんですか」
何かを察したような雰囲気を出して、一応聞いてやると言いたげな顔押して聞いてきた。
「冒険者です」
孤児院には卒院生の先輩たちが、時々剣や文字を教えにきてくれ、イノンはよく筋がいいいと褒められるのだ。
「イノン兄まだいかないよね?」
「さみしいよ」
「冒険者になると死んじゃうし、怪我もしちゃって痛いよ?」
イノンより年下のイノンの
「大丈夫、まだあと一年あるから。僕よりしっかり者のモルもいるし僕がいなくても大丈夫だよ」
弟妹たちに呆れながら、イノンは言う。
とは言いつつも、1年なんてあっという間だろうとイノンは思っていた。
それから1年が経った
イノンは、神父様やシスターそして孤児院の弟妹、剣術を教えてくれた神殿騎士、神殿長にひと時の別れを告げ、旅立った。
冒険者組合に向かった。
とはいえ、向かった先の冒険者組合は神殿のあるジャクナの街の中にある。
イノンは神殿の手伝いで何度か依頼を出しに行ったことのある組合は近所のおじさんの家に行くような感覚だ。
いつも組合に行くようにスキップしていくような気分にはなれずにいた。
そう彼は緊張しているのだ。
今回はいつものように依頼を出しにいくのではなく依頼を受ける立場につまり、自分が冒険者になるために行くのだから、ワクワクしそして自分は大丈夫なのかと言う不安感をごちゃ混ぜになっているのだ。
そうこうしてる内に冒険者組合の前に着いてしまった。
さあ、入ろうと覚悟を決め、ドアを開けた。
いつもの光景があるだけだった。
「おう!坊主いつもの
とよく依頼を受けてくれるおじさん位声をかけてくれた。
「今日は違います。僕は冒険者になりにきました」
「おおう..」
イノンはキッパリそういいおじさんの傍を通り受付に向かった。
「イノン君、今日の依頼はなにかしら?」
と受付にいつもいる受付嬢のココさんにそう聞かれました。
「今日は違います。僕は冒険者になりにきました。登録お願いします」
ちょっと大きな声が出てしまった。恥ずかしい。
さっきまで騒がしかった、組合の中がちょっとだけ静かになった。
誰かが、「プッ」と笑いそれに釣られて組合の皆が笑い声やら、生温かい目やらを向けてきた。
「イノン君、普通でいいのよ。で宿舎の申請もしておく?」
「お願いします。登録の方はどうなんですか?」
「そっちは勿論、OKよ。イノン君の実力はあなたの孤児院の先輩方から聞いているから。でも、一応あしたか明後日に講習があったはずだからそれに出てみることをお勧めするわ。ほかに質問は?」
「とくにはないです」
「なら、部屋に案内するわ。ついてきて」
そう言って簡単な質問-心構えやランクの種類、魔物のランクの位置付けなどをお姉さんと話しながら、組合を出て、隣の建物に入った。
「ここが組合の宿舎よ、確かここの3階がイノン君がお世話になるところで、一部屋4人まで入れて、大体の子はその部屋でいっしょになった子とパーティを組んだりするわ。新しい生活になるから緊張すると思うけど。がんばってね」
「はい」
部屋の前に着いたのでお礼を言って部屋に入って休もうとすると、
「ご飯は食堂でいつでも食べられるからね」
と言われ、礼をし部屋に入った。
部屋に着き一通り落ち着いたのでひとまずこれまでの情報を整理してみる。まずこの宿舎は、半年〜1年借りることができる。宿泊代や食堂で食べるご飯代はこの町の領主が任意で負担してくれているらしい。冒険者にはランク制度というものがあって、下からE.D.C.B.Aの5つとEの下に見習い(みんな面倒なのでFと呼んでいる)がある。Cランクで一人前の冒険者だ。
部屋は4人部屋で、廊下の反対側に窓が一つある。別途は二段建てで教会で寝ていたベットと同じだ。窓の手前には机と本棚がある。本棚には、冒険の書・魔物の不思議・魔物の生態・魔物の図鑑・薬草の図鑑・生き残り方・常識の本(←これはなんであるか分からないけど)...などがあって本棚いっぱいに本が並んでいた。他にもアゼンダの言語、マーロの言語...など他国の言葉の本もあって、すごいって思った。
部屋に荷物を置いて、鍵を閉め下の階にある食堂に向かった。
食堂の食事は普通に美味しかった。
食堂の人に美味しい料理をありがとう。って言い。誰もいない部屋に戻った。
この部屋は年季は入っているものの最後に使われて以来、部屋の詩掃除はされているけど生活感は感じられなかった。
普段は弟妹たちが僕の部屋に来て、そばにいてくれることが当たり前になっていて、今は一人......少しさみしい。今頃弟妹たちも僕がいなくってさみしい思いをしているのかな。なんて思うと僕が元気でいなくっちゃ。
次の日、
組合の宿舎のご飯を食べて、組合の受付に気合を入れて向かう。まあ隣の建物なんだけどね。見習い
僕は弟妹たちに自慢してもらえるような冒険者になろう。と心に誓い、この人生を謳歌します。
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