第19話 岸沼君の弟
私が退散しかけようとした時、居間と隣接している部屋のドアが開いた。
「お兄ちゃん、お客さんなの......?」
ドアが開いて、パジャマ姿で寝ぼけまなこをした小学校低学年くらいの男の子が現れた。
弟さんの
「あっ、こんにちは。お騒がせしてごめんなさい」
「
「うん、トイレだよ」
その言葉で、ホッとした様子の岸沼君。
心配性の優しいお兄さんなんだね。
可愛いけど、イケメン男子になりそうな要素大!
こんな可愛い小さい我が子を残して、岸沼君のお母さんは、別の男の人と浮気して出て行ったなんて信じられない!
世の中には、結婚して育児しながらも恋愛脳に偏って、育児より恋愛優先させる人達も多いみたいだけど、私だったら、そんな無責任な親にはならない!
……って2人に向かって言いたいところだけど、そんな強気の発言したところで、岸沼君の気を引けるとは思えない。
「あっ、よかったら、私、お粥とかなら作れるけど……」
私だって、一応女子だし……
岸沼君は、お母さんのせいで女嫌いになったかも知れないけど、せっかくだから女子にしか出来なそうな事をアピールをしてみた。
「いや、俺も何年も家事して来たから、料理は出来る」
そうだよね。
お母さん出て行ってから、ずっと、岸沼君が部活も止めて、
きっと、私なんかより、よっぽど上手なんだと思う。
「その女の人、お兄ちゃんの新しい彼女のみよしさん?」
トイレから戻った
「違う! いいから、早く寝てろ!」
みよしさん……って?
あっ、そういえば、志原君の名前だよね、
それより、
岸沼君、転校して来る前は彼女がいたの?
それとも、岸沼君がゲイだって知らない
あんな感じで女子である私に向かって違和感無く話しかけてくるくらいだから、
そうだよね、例え家族でも、こういう内容のカミングアウトは勇気がいるもん。
「志原の所も行くのに、引き留めて悪かったな」
そんな事、岸沼君が、謝らなくていいのに。
私の方が、家での岸沼君の様子とか、関心有ったわけだし……
「ううん、志原君の家は私の家からわりと近いから、大丈夫!」
ホントはもう少し、岸沼君の家で情報収集していたかったな。
また今度、ここに来るような事態なんて、この先有るのか分からないし。
「お姉ちゃん、帰るの? 今度また来て、遊んで」
帰り際、またドアが開いて、
「
「うん、私で良かったら、いいよ!」
岸沼君は私が聞き入れて意外そうな顔をしていたけど、
「子供の扱い慣れてるのか?」
「ううん、そんな事は無いけど……もしかしたら、お母さんの穴埋めみたいな気持ちで、年上の女の人に関心が向いているのかもって」
「なるほどな……」
岸沼君はゲイだから、仲良くなった男子を連れて来ても、やっぱり
その点、れっきとした女子である私なら、代役が出来るかも知れないから、少しは有利な気がする!
例え恋人にはなれなくても、女友達くらいの立ち位置なら、私にでもなれそうじゃない?
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