短編フィリピン旅行記

健さん

第1話

コロナ禍が3年も経ち海外旅行が、自由に行けない状態が続き、また旅行したいとい  う想い、回想した今から約15年位前の旅行記です。    先輩と一緒に行ったフィリピンパブにはまってしまい、通うようになったのだが、その店で知り合ったのが、”クリスチィーナ”フランス女優のソヒィーマルソーによく似たフィリピーナだ。そして、恋に落ちた。3か月通い始めたころ、どうやら、彼女はあと、1か月で、帰国すると言う。そして、俺も一緒に行くことになった。これまで、海外旅行は、初めてだ。とりあえず会社に1週間年給届を出した。上司に嫌な顔され、その上、嫌味を言われた。「1週間後出社したら、机ないかもよ。」と。後ろ髪を引かれながら、成田空港から、ニノイアキノマニラ空港へ旅立った。ビザの関係で、クリスチィーナは、先に帰国していた。そしてマニラ空港に4時間ちょっとで無事着いた。まだ5月というのに真夏の暑さだ。ただ、日本の暑さに比べて湿気がないぶん、カラッとした暑さだ。まあ、フィリピンは熱帯国だからな。俺は、”審査”をパスして、バッケージクレームでカバンを受け取り、空港の外に出た。俺は、カメラをぶら下げて、彼女を、待っていた。既に電話で、話している。すると、どこからか、声をかけてきた。「お兄さん!どこから来たの?中国?」「違うよ、日本だよ。」「あっそう、せっかくカメラあるから、記念写真撮ってあげるよ。」「いくら?」「お金いらないよ。」そしてカメラをそのあんちゃんに渡した。「じゃあ、撮るよ。お兄さん近いよ。もっと下がって。もっと、もっと。」と、言いながらヤツは、どんどん見えなくなっていく。そして、そのままカメラを持って逃げられてしまった。追いかけたが見失ってしまった。クソ!やられた。そして、彼女が来て、カメラ盗まれたこと言ったら、「馬鹿ね、あなた。フィリピンは、泥棒が多いから気を付けなさいよ。」「ほんまかいな。」ニコンのカメラだぜ!10万もしたのに。まだ、ローン残ってるのに。トホホ。彼女の家は、マニラから少し遠い所にあるケソンという町だが、10人家族で、親戚も含めて一族郎党住んでいるのだが、俺の泊れるスペースはないということで、マニラでは中堅のホテルのマニラパシフィックに泊ることに。俺が、こちらにいる間彼女も一緒だ。夜は、マニラのパブで彼女と一緒に飲んだ。ちょっと、辛いもの食べすぎたかな。夜、寝ていると、喉が渇いて目が覚めた。”いつものクセ”で日本にいるとき同様、水道の蛇口から水を飲んでしまった。彼女から、あれだけ飲んではいけないと言われていたのに。冷蔵庫にあるミネラルウォーターを飲むようにと。飲んで30分して、腹が、腸が捻じ曲がるような激しい痛みが。脂汗は、出るわ、熱も出て、もう激しい痛みでの下痢。結局1日ホテルで寝ていた。日本から、持ってきた正〇丸の薬は、全く効かず彼女が買ってきてくれた、”現地”の薬が、よく効いた。そして、ようやく良くなり、次の日、家に用事があるので、一時彼女は、帰って行った。また来るとのこと。とりあえず、暇なので、ホテルの外に出た。人が多いのおう。しかも混血だ。”黒い”人もいれば、ヨーロッパ系?アメリカ?フランス?アジア系の人も。中国?韓国?混血民族だ。見ていて飽きないな。フィリピンは昔スペインに333年もの間、植民地だったからかスペイン系の顔が多い。馬鹿顔で見ていると、”物売り”が、やってきた。「お兄さん!韓国人?」「ちげーよ!ジャパニーズだよ!」「お兄さん、社長、時計いらないか?」「いらない。」「安くしとくよ。社長!」「どうでもいいけど、俺は社長じゃないんだけど、、それにどうせイミテーションだろう?」「ちがうよ。イミテーションだけど、イミテーションじゃないよ。」「はあ~?どっちだよ。!」「とりあえず見るだけ見てよ。」「見るだけよ。ん、ん、なかなかいいね。これは、ひょっとして。」「そうだよ、ロレックスだよ。」「いくら?」「4000ペソでいいよ。」「4000ペソ?1ペソ2.5円だから、、日本円で10000円じゃん。いいよ。高いよ。」「お兄さんよく見ると、いい男だね。アランドロンに、似てるよ。」「似てね~よ。おだてるなよ。」「これ買ってくれたら、日本の時計で有名な”セイコー”の時計サービスするよ。」「ほんとに?くれるの?」「OKだよ。」「わかった。買うよ。でもすぐ壊れるんじゃないの?」「大丈夫だよ。長持ちするよ。」「ほんまかいな。何を根拠に。」そして、日本に帰国する日がきた。クリスチィーナと抱擁して別れ、フィリピンエアラインで、成田空港へ。無事着いた。家にて、ロレックスの時計見てみると、ものの見事に止まっていた。今まで元気だったカブトムシの死骸みたいになっていた。まてよ。よく見ると、あれ!”LOLEX”ではなく、LOLAXじゃん。と、いうことは、セイコーは大丈夫か?やはり、同じく止まってる。そして、よく見てみると、SEIKOが、SAIKO(最高)になってる。無性に可笑しくて笑いが止まらなかった。やっぱりフィリピンは最高だ。コロナが完全に終息したら、絶対また行くゾ!                  

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