②それは本当にワクワクしているのか
私は現実世界を基準とした短編ばかり書いていたので、ゼロから世界観を構築していくのがすごく苦手だった。なので今度はファンタジーを読むことにした。さて、第一話。ページを開くとその世界観専門の用語が大量に飛び交い、覚えにくい人物名が大量に出てきて、その世界の中にある国について説明され…。単純についていけない。そしてコメント欄を見ると、「これから壮大な物語が続いていくと確信し、ワクワクしています!」と書いてあった。その感想、とても信じ難い。
私はハリーポッターシリーズを全部見ているし、ドラクエ、進撃の巨人、とある魔術の禁書目録、他にもデルトラクエストなんかにハマっていた。ファンタジーそのものにアレルギーがある訳ではない。加えて、先述のWEB小説同様それぞれの作品には例外なく、世界観の説明が挟まる。しかしそれらには違和感がない。挟まるべき瞬間に挟まっている。
一番分かりやすいのはハリーポッターだ。何も知らない主人公ハリーが、先に魔法を知っているハグリットやロン、ハーマイオニーに質問し、世界観が段々と広がっていく。自分が一番ワクワクしたのは、炎のゴブレットで他の魔法学校の存在が明かされた瞬間だ。よくよく考えたらイギリス以外にも魔法学校があるのは世界観的にも当然だが、そこで物語内での世界の広さを実感した。私はあの時のワクワクをよく覚えている。
ドラクエなんかのゲームでも同じだ。やはり「え、ここも進めるの? この扉入れるの? こっちに道あったの?」の瞬間が一番楽しいと私は思う。これまで触れてきた世界の広さという一線があって、それを越えた瞬間こそワクワクするのに。それをいきなり第一話で「この物語はこんなに世界が広いんです!」なんて提示されてもなぁ…と感じてしまう。
週刊少年ジャンプの漫画でも、多くがこのような途中から世界が広がるという手法をとっているのではないだろうか。トリコの『グルメ界』、HUNTER×HUNTERの『暗黒大陸』、Dr.ストーンでは『北米編』、僕のヒーローアカデミアなんかでは『海外のヒーロー登場』。自分たち自身でも何にワクワクしているのかなんとなく理解しているのに、WEB小説の第一話で、「これからの物語にワクワク!」…その感想は本当だろうか?
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