第2話


 メアリが落ち着くのを確認すると、俺たちは見周りを再開させる。

 だが、里をひとしきり見回るも、生きている者はだれもおらず、有るのは、血を流し倒れている、里の人達の死体だけだった。

「そんな……」

 メアリは再び泣きそうになるが、震えながらも何とか耐えている。

 そして、学園に報告するために帰ろうとしたそのときだった。

 声が、聞こえたのは。

「声が聞こえたが……メアリ、なんかいったか?」

「うぅん、何もいってないけど……何も聞こえないし」

 どうやらこの声はメアリのものではないらしい。そしてこの声も聞こえていないようだ。

 だとしたらこれは幻聴なのだろうか?そう思ったが、この声が、ただの幻聴だとは思えなかった。

「……メアリはここで待っててくれ!」

 この声が気になった俺は、メアリにここに待ってくれるようにいうと、声が聞こえる方向へと向かった。

◇◇◇

「ここか……」

 里のはずれにある木組みの小さな小屋。声はここから聞こえてきた。

 ここはなぜか燃えてもおらず、まだ新しめの小屋だった。

 なぜここは燃えていないのか不思議に思ったが、それよりも聞超えた声を確かめたかった。

 だが、中には人のいる気配もない。

 扉を叩くも誰も出てこず。小屋に入るも、中には特に何もなかった。

「ん?なんだあれ」

 よく確認すると、ただ1つ、小屋の脇にぽつんと置いてある大きな黒い箱があった。

 箱は縦に長く鉄製で、成人している女性でも入れそうなくらいの大きさだった。

 全身は真っ黒だが、中央に白い十字架が書かれており、異様な怖さを感じさせている。

 俺は蓋の部分に手を掛け持ち上げようとした。だが、鉄製のそれはかなりの重量があり、俺だけの力じゃ開きそうになかった。

 それでもあきらめきれずに持ち上げようとしていると、後ろから声が聞こえ、振り向く。

「やっと……追いついた」

 そこにはメアリが立っていた。疲れたのか膝に手を着き、息を荒げている。

 そのことに俺は謝罪する。

「それで、ここは……きゃっ!」

 この箱に驚いたのか、メアリが悲鳴を上げた。とりあえずこの状況を説明すると、メアリは協力してくれるといい、蓋に手をかけた。

 その蓋は結構重く、持ち上げるのに少し時間がかかるも、持ち上げることに成功する。

 そして箱の中を見ると、そこには1人の少女が眠っていた。

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