第6話 カチコミ
「いい返事だなコウタ」
「あ…」
何をさせられるかも分からず返事をしたことに後悔の念が湧き上がる。
「あそこに建物があるだろう」
それは何の変哲もない三階建てのビル。
「あそこが何だって言うんですか…」
普通のビルを訝しげにマジマジと見つめる
注視しているとあることに気づいた。
汗が滝のように流れ出す。
「心なしか、あのビルには監視カメラが多いような…」
「監視カメラ??何だそれは」
「いえ、あの丸っこい」
「あれが何だって言うんだ?」
「あーゆーのがあるところって反社会的な人たちがいるところかなーって…」
一瞬、静かな間が置かれる。
「おー!分かるのかコウタ。ワタシが見たところ悪い気配を放つ者が多くいるぞ」
どうやら、これから自分が反社会的な人たちの巣窟に行かされることを悟ったようだ。
いわゆるカチコミである。
「さあ!行くぞ」
有無を言わさず連れていかれてしまう。
「東海…
ビルの看板にそう書かれている。
明らかに暴力団の事務所である。
だが首根っこを掴まれておりシャツが首に食い込み苦しいだけだった。
「何故逃げる?」
「何でってカチコミなんかしたら殺されるからですよ」
「殺される?笑わせるな依り代とはいえ父上の魂を享受した身。人に殺せるわけないだろう」
自信満々にそう語る
しかし、怖いものは怖い。
「さて…」
と言って何も無いところから突然現れたのはとても大きな
「あれは西遊記に出てくる
「ほぅ…この時代にも伝わっているのか。我が母上の武器、
「有名ですよ」
「そうか…ういなことだ」
嬉しそうに答えた
そして次に手の芭蕉扇を大きく振りかぶった。
その動作を見て
「ちょっと待っ――!」
芭蕉扇は振り降された。
ゴゥッ!!!
轟音とともに突風が吹き荒れて目の前の扉は見事に破壊された。
「あぁ、なんてことを…」
―――しかし、小・
「行くぞコウタ。カチコミだ」
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