第4話 麻生はチー牛魔王になる
「牛魔王と羅刹女…って、西遊記に登場する妖魔。ですよね?」
『そうだ』
「実在したんですか?」
『ここにこうしているのだから実在するのだろう』
「本物の妖魔なんですか?」
『先程、
とりとめのない会話が流れる。
通常ならば荒唐無稽な話だと相手にしない
あの突風は都合よく自分を避けた人為的なものであったからだ。
「すごい…本当にいたんだ」
『物分かりがいいな
またからのうつわと
何のことだか
「あの、からのうつわってのは何ですか?さっきも言ってましたよね」
『ん?』
「…何でしょう?」
『いや何でもない。ところでお前はチー牛魔王と呼ばれていたな』
自分で許可した覚えはないが学校の連中も街の不良たちにもなぜか勝手に呼ばれているだけである。
しかし、それを説明するのも面倒なので
『そうか!やはりな』
何故か
『ワタシの聞き間違いではなかった』
「あの…さっきから何のことでしょう?」
そして聞いたこともない言葉で呪文を唱え出した。
「あの何をしているんですか…?」
呪文を唱えるのに没頭する
暫くすると両の掌に挟まれた空間にポッと
いや、魂のようにも見える。
「な、なんですか、それ?」
『魂だ。父上のな』
「牛魔王の魂…?」
『そうだ。そして、これからコレをお前の中にぶち込む』
「えっ??」
それを制止しよう胸の前に手を添えてブロックするがそれも虚しく光は
『父上…これで』
「うわっーーーー!!」
何の抵抗もなく身体の中に溶け込んでくる牛魔王の魂。
全身を何かが駆け巡りムズムズとする感覚を覚えた。
しかし、それも数秒経ったころには全身に行き渡り何も感じなくなっていた。
「ハァ…ハァ…」
全身の力が一気に抜け落ちて、肩で息をする
それを
『気分はどうだ?』
「身体が熱いです。何だろう…禍々しいエネルギーが腹の中で動いているようで気持ち悪いです」
『成功だ…これでお前は牛魔王だ』
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