第3話 事件

 少年野球チームへ見学に行ったアキトは自宅へ帰ったあと、公園でパパとキャッチボールをしていた。

 「アキトキャッチボール楽しいか」パパが笑顔で言った。

 「うん!楽しい!」

 二人は15分ほどキャッチボールをしてあと、ベンチに座って休憩した。

 「朝、見学に行ってどうだった?」

 「う〜ん、監督が怖かったけどキャプテンは優しかった。キャプテンは女の子やってん。でもチームで一番上手いからキャプテンになったらしい。話もめっちゃ上手くておもしろかった」

 「そうか。監督が怖いのか。でもキャプテンの子はいい子そうやな。それでアキトはチームに入るのか」

 「うん。入るけど。監督が怖い。それが心配」

 「でもアキトはプロ野球選手になるんやろ?そんなんでビビってたらあかんやん。プロ野球選手になりたかったらそういうのにも耐えないとあかんで」

 「うん。それはわかってるけど…」

 「怒られるのがいや?」

 「うん…」

 「じゃあ練習して上手くなるしかないな。パパといっぱい練習しよう。そしたらアキトは上手くなる」

 「うん!」


 二人はその後、またキャッチボールをした。


 そして二回目のキャッチボールが終わり公園から帰るあと、商店街にパトカーと救急車がいっぱい止まっていた。パパが何があったのか近くにいる人に聞いた。

 事件があったらしいというのがわかった。

 アキトになんとも言えない不吉な予感が、全身に鳥肌となって現れた。

 アキトは吐き気が出てきたがなんとかそれを堪え、自宅までパパと帰った。

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