三者面談

 戦いもすっかり終わり、生徒たちは大広間に戻り授業が再開された。


 ボコボコにされた2人は、それでもレイシアの手加減のおかげで、大した怪我もなくすんだ。それはレイシアが、学園で王子の相手をしているうちに、『手加減の仕方』を覚えていたからだった。


 2人は、肉体的なダメージより、精神的なダメージのほうが大きかったため、医療室で休ませた。特に問題なしだ……。多分。



 そんな騒ぎが収まった頃、レイシアの父、クリフトが教会を訪れた。


 神父はレイシアとターナーを貴賓室に連れていき、開口一番言い放った。


「クリフト様! あなたはどんな子育てをしてきたんですかっ!」

「子育てはしていない」

「はぁ?」


「だから子育てなんてしていないそうだ、私は!」


 言いながら、ちょっとイライラしてくるクリフト。

 聞きながらイライラが伝染る神父。


「どういうことですか! 父親でしょ!」

「私は父親失格だそうだ!」


 開き直ったクリフトは、身も蓋もない言葉を発した。


「どうせ私は父親失格ですよ。ハイハイ、分かってますよ」

「なにいじけているんですか。とにかく、レイシア様の武闘能力はどうやって仕込まれたんですか!」


「ブトウ? ダンスか?」

「違う!戦闘能力! 戦う方!」

「戦う? レイシアが? まさか」


 神父は、まさに今あった惨劇をクリフトに話した。



「まさか……、そう言えば以前来た手紙に王子に勝ったとか書いてあったが……。本当なのか?」


「もちろんです。成績表見せましたよね」


 確かに見ていた。しかし、見ないことにしていた。実技なら落第じゃなければ良いと思っていたし、騎士コースなど落ちてもどうということがない、そう思っていたからな。


「レイシア、君は一体どこで武芸を習ったんだ?」


 神父が聞くと、 レイシアは首を傾げた。


「どこで? 習った覚えは無いですね」


 レイシアが習ったのはメイド作法と狩りくらい。別に大したことはしていない……レイシアにとってはだが。


「しいて言うなら料理長と狩りに行ったことぐらいですね」


「狩りの動きではなかったと思うが……」


「「「うーん」」」


 まさかメイドが戦闘訓練だとは思わない3人。レイシアは当たり前にやっているので特別な事などとは思っていない。


「分からない事を悩んでも仕方がない。とにかく、レイシアは危険な程強い。そういう事だな。他に学園でなにやらかしているのか確認しよう」


 クリフトは、うんざりした顔で成績表を見た。


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