法衣貴族コース 簿記・会計 及び ビジネス作法(貴族対応)
法衣貴族コース。それは増えることのない
(簿記・会計〉
集められた者たちは、最初にテストを受ける。本格的な簿記を学ぶのは3年生以降。それまでは、数学の基礎を学ぶ。一般教養の算数とは違う特殊な計算方法。それが数学。それを受けるに値するかテストで振り分けられる。もちろん点数別にクラス分け。満点は合格証を与えられる。
どうせそうなんでしょう、と予想通りレイシアは満点+αで合格証をもらった。簿記・会計コース2年生分まで終了。お疲れさまでした。
◇◇◇
〈ビジネス作法〉
「いいか、おまえらは公僕を目指している者どもだ。コウボクとは、
身も蓋もないがそれが現実。どこの世界もそんなもの。甘っちょろい理想は身を滅ぼす。絶望は早いうちがいい。それがグロリア学園の教育方針。
「はい、今嫌な顔したヤツ出て行っていいぞ。どうせ脱落していくんだ。面倒なことはお互いしたくないだろう」
教師はニヤっと笑うと、出口を指差した。
高位貴族らしい服を着た者たちが何人か出て行った。
「いいぞ、無駄な時間はお互い少ない方がいい。では最初の授業だ。お前と、お前と、おまえと……、ここへ並べ」
教師たちは、いかにも身分の低そうな、見た目の悪い男子を10人選んで前に並んでいるイスに座らせた。
「今から、この前に座っている生徒を、そうだな、王子だと思って挨拶をしてもらおう。ひざまずいて、最大限の忠誠を誓ってくれ。な~に、心などこもってなくていい。こもっている風にしてくれればいいんだ。簡単だろう」
「ふざけるな!」
どこからか声が上がった。そこから
「こんなこともできない奴は早く帰れ! 社会はもっと厳しいんだ!」
と怒鳴った。
「この中で一番つらいのは誰だとおもっているんだ! ここに座っている10人だ!」
見ると10人とも涙目である。知っていたけどここまで拒絶されると………………。
生徒たちは黙るしかなかった。
◇
シーンとした空気の中、制服姿のレイシアが中央のイスに座っている生徒の前に進み出た。その姿は慈愛に満ちた天使の様だった。
レイシアは、イスに座った男子に、丁寧に頭を下げ
「旦那、あっしはレイシアともうす半端者です。こっから先、お世話になることもあると思いますんで、一つよろしゅう頼んます。あ、これはほんのお近づきのしるしでございやす」
そう言って、銀貨を一枚差し出した。
レイシアはやり切った。 周りは凍った。 教師たちは白髪になりそうな程の衝撃を受けた。
◇
それからの授業は滞りなく行われた。あれよりはまし、という空気が流れた結果敷居が低くなったのだ。結果的にレイシアはいい仕事をしたのだが、評価は最低をもらうことになった。
その結果として、法衣貴族コースの者たちからは「やさぐれ勇者」という二つ名を与えられた。
【現在のレイシアの二つ名】
制服の悪魔のお嬢様(略称 制服の悪魔 悪魔のお嬢様)(市場)
黒魔女様 (メイド組女子生徒)
マジシャン (料理組男子生徒)
やさぐれ勇者(法衣貴族組生徒)
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