おとうさまといっしょ 第一章(完)

 (おとうさまとの食事がつらいです)


 ガラーンとした食堂。二人っきりで向かい合う親子。運ばれる料理。話すこともなくただ口に運ぶだけの食事。


 父クリフトは、妻がいない現実を受け止めきれずレイシアの事まで気が回らない。レイシアはレイシアで、


 (おとうさまのお腹が大きくなって、おとうさまが赤ちゃんをうむためにジッカにかえって、おかあさまがここにいたらいいのに)


と、虚ろな目にはしたお父様を見つめながらニンジンを食べた。


◇ ◇ ◇


「……そんな感じなの。……おとうさまといっしょにいるのつらい。……おかあさまがいなくなってさみしい」


 レイシアはサチにグチった。


「ふーん。まっ、あたしには父さんも母さんもいねーし…よくわかんないね」


 レイシアは(あっ)と思ったが言葉が出なかった。


「ああ、気にしなくていいよレイ、慣れてるからさ。新入りはみんなそんな感じ。『かーちゃんいなくなってさみしい』ってね。でもほら、あたしには面倒見なきゃいけない、手のかかる弟も妹もたくさんいるし、神父様も院母様もいるからさ。……大丈夫だよ。そんな顔しなくったって。何だったらさ、レイ、そんな父さん見限って孤児院うちの子になるか」


 レイシアは首をブンブンと横に振った。


「アッハッハ。そんなもんだろ。それよりあんたさ、そんな状態で大丈夫か?」


「……(なにが?)」


「お姉さん。素敵なになりたいんじゃなかったか。今のままだとダメダメなねーちやんにしかなれないぜ」


 レイシアに魂が戻った。このままじゃ駄目だ。私は立派なおねえさまになるんだ。お母様と約束したんだ。素敵なお姉さまになると。レイシアは目指すべき目標を思いだした。


 その後レイシアはサチと、すてきななおねえさまに成るために何をしなければいけないか相談した。


 サチの提案をすべて受け入れたら、おねえさまのハードルが高跳びのバーに変わった。


 そして[すてきなおねえさま計画]ができた。


◇ ◇ ◇


 ガラーンとした食堂。二人っきりで向かい合う親子。運ばれる料理。話すこともなくただ口に運ぶだけの食事。


 父クリフトは、妻がいない現実を受け止めきれずレイシアの事まで気が回らない。レイシアは口を開いた。


「おとうさま、いまのままでは『りっぱなおとうさま』になれません。、赤ちゃんがきても『ダメダメおとうさま』です。わたしといっしょに『りっぱなおとうさま』をめざしましょう」


 5歳の娘に発破をかけられた父クリフトは、腑抜けから戻ることができた。そして、


 (私はレイシアにとって、『ダメダメおとうさま』なんだな)


と辛い現実を突きつけられたのだった。




………………後書き………………


 ここで第一章、レイシア5歳は終了です。第二章はお母様が帰る一年半後から始まります。


 ここまでお読み頂きありがとうございました。


 よろしければ、ご感想など聞かせてもらえると有り難いです。なにせ初作品故、右も左も分からないものでして……感想下さい!


また、★とか💖とか頂けるとありがたいです。

↓こちらからレヴュー★ やフォローできます。

https://kakuyomu.jp/works/16817139555810310315


 次からしばらく閑話続きます。

お母様がいない間なにをしていたか、他者目線で書いていきます。


 これからもよろしくお付き合い下さい。


(後書き、いつもはノートに書いてます。キャラの裏話などいろいろあるので、よろしければそちらもご覧下さい。作者フォローが楽ですね。区切りの良いところだけ、この形で後書き書いていきたいと思っています)




2022/12/21追記


現在カクコン8参加しています。

レイシアのすーはーが漫画で見たい作者の願望は、読者選考を通過してコミックウォーカー賞を目指す事です。

あなたの★やフォローが後押しになります!

応援してください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る