ナルキとエイコ

明弓ヒロ(AKARI hiro)

ナルキッソスとエコー

 昔、ナルキッソスという美しい少年がいました。

 皆がナルキッソスに恋をしましたが、少年は誰の気持ちにも応えませんでした。


 森の妖精エコーもナルキッソスに恋をしましたが、エコーは話しかけられた言葉を返すことしかできない呪いを、女神ヘラからかけられていました。


 あるとき、ナルキッソスが森に行くと美しい湖がありました。ナルキッソスが湖を覗くと、美しい少女の顔が映りました。


 ナルキッソスは少女に一目惚れし、少女に口づけをしようとしました。それを見ていたエコーがナルキッソスを止めようとしましたが、ナルキッソスが「僕に近寄るな」と言うと、エコーも「僕に近寄るな」と言いました。


 そして、エコーが遠くへ行ってしまうと、ナルキッソスは水面に映った自分の顔に口づけをしようとして、溺れて死んでしまいました。


 ナルキッソスの死んだ後にはスイセンの花が咲き、エコーもまた体を失い、声だけが残りました。


――ギリシャ神話より――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る