自由なる犬
鷹山トシキ
第1話
殺人犯を逮捕すると殺人が自由に、詐欺犯を逮捕すると詐欺が自由になる。
警察官の尼子勝男は勤務中に遭遇した強盗事件で犯人に撃たれ負傷してしまう。療養中に提出しておいた転属願いにより公安部に配属され、日本への入国者のチェックをしていると既に死亡している中国人の名を騙った入国者を発見した。
パスポートの写真を照会すると、その人物は国際刑事警察機構から手配されている国際的な「暗殺者」であることが分かり宿泊先の熱海のホテルに向かうものの一足違いで取り逃がしてしまった。その後、街中で尼子は偶然に暗殺者の姿を見かけ、逗留先を突き止めて監視活動に入ったがその動きから暗殺者の目的は皆目知れなかった。
尼子の上司の桜鱒匠海は暗殺者の逗留先である湯河原に部下たちを送り込んだ。
暗殺者の監視中に万葉の湯周辺で姿を見失ってしまった時、同時刻にそこに居たのが俳優の鯰江春夫であることに気づいた尼子は暗殺者の目的を確信し警告を発した。しかし、何らかの対策が講じられる様子も無く何故か尼子は任務から外され、共に捜査をしていた同僚も他の部署へと振り向けられてしまう。そして、尼子達がそれまで集めた暗殺者に関する証拠物件もいつの間にか消えていた。
「もしかしたら、上層部に人殺しをしようと思ってる奴がいるのかも知れない」
尼子は露天風呂に浸かりながらバディの間黒康史に言った。尼子も間黒も27歳だ。尼子は幼い頃から女にモテた試しがないが、間黒は正反対。今まで付き合った女性は5人。尼子の憧れである女性捜査官、雷丸和歌子は間黒にゾッコンだ。
自由なる犬 鷹山トシキ @1982
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