9-4
「う~ん、今日も疲れたねぇ~」
「だなぁ~」
放課後、何時ものように彼女と帰宅していた。
「今日の古文の授業、蓮人全然わかってなかったでしょ」
「まぁな」
「胸を張って言う事じゃないでしょ~、全く……そんなんで受験大丈夫なの?」
「まだ一年だぞ? 早くないか?」
正直、早くとも高校二年になってからやろうとは僕も考えている。
「一年からやらないと、本格的にやるときにはもう遅いんだよ。 ほら勝負は準備の段階で決まるっていうじゃん」
「それは本番前にやるんだろ?」
「いやいや、準備ってのは計画的に行うものだよ? 計画を立て、それに向かった準備、そうして本番の三段階が必要って意味だと私は思うけど?」
出たよ、奏の持論。
明るくて前向きな性格で理想的で非計画的なのに、こういう所は現実的で計画的なのだ。
「大丈夫だって」
「それが大丈夫じゃないから言ってるの、受験の時を忘れたの?」
「う……」
ぐぅの音も出ません、はい。
正直な話、彼女がいなかったら今の高校には合格する事など出来なかっただろう。
「ちゃんとしないと駄目だよ?」
「お前は僕の母親か」
「言われるようなダメダメなのが悪いんだよ」
雰囲気が悪い。
この状況でチケットなんて渡せるわけがない。
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