第269話 銭太鼓
ずいぶん昔の話ですが、私は20代の後半から30代の前半、その頃住んでいた地域の今で言うママ友と銭太鼓のチームを作っていました。
チーム名は「白百合同好会」でした。
(白百合のように純白で清らかな女性の集まりだったので……笑)
何故そんな話を急にと思われると思うのですが、衣替えをしていて、クローゼットの奥に箱に入れてしまっていた銭太鼓一式を見つけたからです。
懐かしくってついエッセイに書きたくなりました。
聞きたくなくても聞いて下さい( ´艸`)
銭太鼓とは、竹筒などの筒の中に五円玉などの銭を入れ、振ることで銭の触れ合う音を出すリズム楽器です。
また、この楽器を使って踊る「銭太鼓踊り」という民俗芸能も指します。
主に島根県の伝統民謡「安来節」などが有名です。
どんな経緯でこの銭太鼓チームを発足したのかはっきり覚えていないのですが、私の住む近所には私の長男の同級生、長女の同級生など、同じ年頃の子供を持つ親達が集中していたのです。
それで顔を合わす機会も多く、地元のイベントなどで他のチームが披露する銭太鼓を見て私達もやってみたいね!と誰かが言ったのがきっかけだったように思います。
それで話がトントン拍子に進んだような……。
幸い、徒歩で行けるほどのすぐ近くに地域のコミュニティ施設もあったのでそこを借りての練習も可能だったのです。
その施設を夜間、管理する人もママ友のお父さんでしたので話は早かったです。
とはいえ、全くの素人の私達だったので、銭太鼓を教えて下さる先生を探すところから始まりました。
まもなく、知り合いの伝手で踊りの先生に週一で教えてもらえることになりました。
早速声掛けをしてまず集まったのが近所のママ友で5名でした。
(のちに、何名か増えました)
まずは、銭太鼓のバチが必要なので、すぐにリーダーとなってくれる人が取りまとめて注文してくれました。
初めて手にした自分専用の銭太鼓に歓喜したことを思い出します。
最初は姿勢というか、座り方、銭太鼓の持ち方などから教えてもらいながらのスタートでした。
一般的に「安来節」「河内音頭」などの曲に合わせて銭太鼓の色々な型(振り付け)を組み合わせて演舞していきます。
音色を楽しみながら動きを伴って披露する芸能と言えるでしょう。
見ていると簡単にできそうな銭太鼓でしたがいざやってみると、なかなかどうして両手で持った銭太鼓のバチを右手から左手に同時に交差して持ちかえるなどの動作が思っていたよりうまくできないのです。
音楽に合わせて動作を変えながら遅れないようにしないといけません。
そして、一緒にやるみんなの動作も綺麗に揃っていなくてはいけません。
最初はバチが手から落ちたりするし、振り付けもスムーズに覚えられず散々でした。
何度も何度も練習して何ヶ月もかかってやっと一曲の音楽に合わせて振り付けができるようになりました。
そうやってだんだん上達してくると、想像以上に楽しいと思えるようになり、バチが動くたびにシャンシャンとなる銭の音が魅力的で心地よく感じるようになりました。
練習を重ねて皆と息がピッタリ合った時の達成感も格別です。
そうするうちにいつかは舞台で披露したい!とみんな思うようになって、地元のイベントに出るのを目標に頑張るようになりました。
出演するとなると、衣装も必要になり、法被などもオリジナルで作ったりしました。
こうしてイベントに一度出たら、今度は他のイベントがある時にも声をかけて頂くようになり、年に何回か秋祭りだったり、文化祭だったりと忙しくなってきました。
披露する曲も増えて色々できるようになっていきました。
あの頃は一生懸命頑張っていたなと懐かしく思い出しました。
私は引っ越しを機にやめてしまいましたが、あのまま続けていたら今は相当上達して後継者もたくさんできていたかもと思います。多分ね( ´艸`)
今では良い思い出となっています。
この度、本当に久しぶりに銭太鼓を見つけて、あの頃を思い出してやってみましたが、手が思うように動かなくなっていました。
が、何度かやっているうちにだんだんと手が動くようになって少しは様になってきました。
昔習ったことは体が覚えているのですね。
もう今となってはチームを作ってまでやりたいとは思いませんが、たまには家で練習するのもボケ防止になっていいかなと思っています。
そんな若かりし頃の銭太鼓の思い出でした。
近況ノートに画像あります。
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