第174話 お雛様、ありがとう。

 二月の初旬に出したお雛飾り、やっと片づけました。

春休みに孫達が来るのでそれまで飾っておきたかったのです。

約二か月間、我が家のひっそりとした部屋の中を華やかにしてくれました。


 娘家族、次男家族がそれぞれ我が家にやって来た時、お雛飾りを眺めて一緒に記念写真も撮りました。

次男の長女で今年小学五年生になった〇〇が、このお雛飾りを見て、

「うわぁ、お雛さん!」と歓声をあげていましたが、そのうち私のそばにやって来て

「お雛さんをいつまでも飾っておくとお嫁さんにいけなくなるんよ」

とそっと耳打ちしました。

私は、そんなことも知ってるんだと思いながら、茶目っ気で

「〇〇ちゃんに、お嫁にいってもらいたくないんよ」と言うと

ビックリしたように目をまん丸にしたので、おっと、こんなことを言ったら嫌だったかなと思い、

「大丈夫よ、これはのこちゃんちのお雛様だから、〇〇ちゃんはちゃんとお嫁に行けるよ」と言うと、安心したように笑顔になりました。

うふふ、こんな小学生の時から、お嫁さんになることに憧れがあるのかなと微笑ましく思いました。


 春休みが終わった四月の中旬のお天気の良い日に、今年のお役目を終えてホッとしたような雛人形を一つ一つ手にとっては感謝の気持ちを込めて、元あった箱の中に収めていきました。

多分皆さまはお雛様を出す時よりも、しまう時の方が面倒だと思われるかもしれませんが、私はこのお雛様をしまう時が意外と好きです。

お人形の顔が痛まないように、キッチンペーパーを折り畳んで顔に当ててその上から頭ごと紙で包んでいく作業が割と面白いのです。

顔にペーパーを当てた時、一瞬、これって虐待?って思いますが、それ以上にあなたの事を守っているのよと言う気持ちになります。

優しく包んでいると感謝の気持ちが湧いてくるから不思議です。


 箱に詰めたら、新しい防虫剤の樟脳しょうのうを入れて「また来年会おうね」と声掛けをして、完了です。

雛道具も、それぞれの元入っていた箱に詰め込みながら、全ての作業が終わると、一仕事終えたような満足感があります。

殺風景になった部屋に掃除機をかけ終わったら、我が家のお雛様のイベントがやっと終了です。

来年も元気で会えますように!


近況ノートに画像あります。https://kakuyomu.jp/users/cocopin/news/16818093075627485812

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