第56話 隣の智ちゃん
我が家の隣に住んでる智ちゃんは、三年前にご主人を亡くして、今は一人暮らしの元気なおねえさんです。
おねえさんと言っても、来年は八十歳になるおばあちゃんなのですが、朝から畑に出て畑仕事などして若々しく元気いっぱいなので、とてもおばあちゃんとは思えないほどなんです。
だから私は密かに「智ちゃん」と呼んでます。
本人を目の前にしては恐れ多くも「智ちゃん」とは呼べませんが、うっかり私が「智ちゃん」と呼んでしまっても気にしてる様子もありません。
この智ちゃん、畑が三ヶ所もあり、その畑にその季節に応じた野菜を、途切れることなく色々と植えておられます。
時々、娘さん家族が来て畑の耕運をしたり、草刈りをして智ちゃんの手伝いをしています。
が、ほとんどの事は智ちゃんがマメに手入れをして、夕方には水をまき、立派な野菜を収穫されてます。
そして収穫した野菜を惜しげもなく、私に「食べんさい」と持ってきてくれます。
私の食卓がいつも新鮮野菜で満たされてるのは、何といっても智ちゃんのお陰です。
何しろ、私は畑があっても、今まで玉ねぎとジャガイモとミニトマトしか植えたことがありません。
あっ!今年はニンニクも植えてみましたが……。
ここだけの話し、智ちゃんがいつも野菜を下さるので、植える必要がないんです( ´艸`)
だから、私は智ちゃんが畑仕事が出来なくなったら、今度こそ私の出番と思って野菜つくりに専念しようと思っています。
そして今までの恩返しのつもりで、野菜をお届けしようと思っています。
それから智ちゃん、すっごくおしゃべりです。
そしていつも豪快に笑っています。
行動力もあって毎日出掛けては色んな情報を持って帰って私に話して下さいます。
どこどこの誰々がどうした、こうしたなんて話しから、今日はこの店がお買い得だとか、もう何でも教えて下さいます。
また、智ちゃんは人気者で智ちゃんのお家にはいつも誰かが出入りしていてお友達も多いんです。
そうそう、私の孫達も智ちゃんが大好きです。
頭の回転も速いので、こっちが言った一言に、さっと切り返しが上手いんです。
なんてたって、智ちゃんの息子さんは東大を出ておられるほどの秀才です。
東大出の息子さんを育てたお母さんですから、一味違います。
でもそんなの全く鼻にかけずに、気さくです。
智ちゃんを見ていると私も元気になります。
今では智ちゃんが私の人生のお手本です。
来年は八十歳になる智ちゃん。
こんな素敵な八十歳なら、私も八十歳になるのも悪くないかもって思っています。
近況ノートに画像あります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます