第7話 叙情まんが 「小さな恋のものがたり」
「小さな恋のものがたり」(みつはしちかこ著 立風書房)をご存じでしょうか?
チッチとサリーと言った方が分かりやすいかもしれませんね。
みつはしちかこさんによる4コマまんがで、1962年に「美しい十代」(学習研究社)で連載を開始して以来、高校生の主人公チッチと、ボーイフレンドのサリーが紡ぎだすピュアな恋のストーリーと叙情的な描写で多くのファンを魅了しました。
やがて1967年には単行本として発刊されました。
二人の出会いや初めてのデートなどの名場面のほか、仲間との青春の日々を織り交ぜながら、四季折々のシーンで構成された叙情まんがで全45巻あります。
45巻は2020年9月25日に発売されています。ということは60年近く愛され続けていることになります。それだけでもいかに多くのファンに根強く愛され続けたかが分かります。
私は全巻は揃えていませんが、そのうち24巻持っています。
初めてこのまんが本を手にしたのは、中学1年生の時です。
1970年に第1集が発売されているので、発売されてすぐに本屋さんで見つけたのだと思います。
チビのチッチとノッポのサリーの、星空のように広がっていく恋。
そそっかしいけど純情な16歳の乙女チッチ、美人じゃないけど快活なチッチ、モテなくてしんみりしてもすぐ明るさを取り戻すチッチ。
私はすぐにこのまんがの虜になりました。
4コマまんがと共に、所々で登場する詩も又、片思いの切なさや純真さがうまく表現されていてうっとりしたものです。
第1集のはじめに、みつはしちかこさんの言葉が記されているのを抜粋します。
(第1集 1970年8月20日 立風書房第1刷発行)
―― 私の片思いの思い出は、あの遠い、夕やけ色をしたびわの実のように、今もなお、心の奥にほのかなあかりをともしていて、寂しいときや、つらいときなど、思いがけず、私に小さなほおえみを与えてくれます。この小さなほおえみは、小さな勇気を呼び、小さな勇気が総動員されて動きはじめると、ムズムズ、ムズムズ、私は春の大地のようにくすぐったくなってくるのです。
”生きているって、おもしろいことだなァ………やっぱり”と思い直し、こんなノロマな私にも、なにかステキなことができそうに思えてくるのです。
恥ずかしかったこと、嘘をついたこと、へんちくりんなこと、みんなかいてしまいました。そうしてみると、私のあれほど真剣な悩みの、苦しみも、悲しみも、なんだかとてもかわいらしいものに見えてくるのです。
みなさんもどうぞきいてやってください。アメンボみたいな女の子の恋のおはなし。ちっちゃいくせに、ラッキョみたいな涙を出したりしておもしろいんです。――
私は、中学1年生の時、Aくんという仲良しの男の子がいました。
そのAくんもこの「小さな恋のものがたり」が大好きで、お互いにそれぞれ違う巻のまんが本を買って貸し借りをしてました。男の子なのに、凄くピュアでチッチみたいな子でした。このまんがの話になるとお互い盛り上がって、話が尽きないんです。
まるで女の子同士のように手紙のやり取りもしてました。
学校から帰る途中に、本を借りる為、家に寄ったことも何度もあります。
Aくんの家には、いつもお母さんがいて、「うちのAは女みたいにナヨナヨしてるけど仲良くしてやってね」と煙草をスパスパ吸いながら言われたことがあります。
なんか、お母さんの方が男っぽい印象でした。
地元に当時ブームだったボウリング場ができた時も、Aくんのお母さんに誘われて
Aくん、Aくんのお母さん、私の3人でボーリングをしたことがあります。(どんな関係? 笑)
私はあまり異性として見ていなくて、本当に仲の良い女友達みたいでした。
とにかく一緒にいて楽しいなぁって思ってました。
今にして思うのですが、Aくんは身体は男の子、心は女の子だったのかなって!
真相は分かりませんが、そんな気がふっとしました。
「小さな恋のものがたり」と言えば、そのAくんの事が思い浮かびます。
Aくんとは高校が違い、そのうち引っ越しもされたので中学卒業後は自然消滅しましたが、今、会いたい人は誰ですか?と聞かれたら迷わずAくんに会ってみたいです。
近況ノートに、「小さな恋のものがたり」の本、載せてます。
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