短編

@14go

短編I

 夏の独特な強さを持つ朝日がまぶたを通り抜けて目に突き刺さり、眠りもだんだんと浅くなっていく。そして、ぴたりと朝日が姿を消し、眠りが一瞬で消し飛んだ。

「あんた、まだすべきことがあるよ」と、頭の中で響いて聞こえる。エコーがついてる。しかし、性別はわからない。声が男女両方にありえる高さだから、とかいったようなしょーもない理由では無かった。

 文字が直接頭の中にぶち込まれた状態をどうにか声が聞こえるという形で感じれるようにした、というような方が説明としては正しいと思う。

 しかし、すべきことってなんだろうか。宿題とかだろうか。中学校二年生の夏休みも後半に差し掛かり、まじめな系男子な私は宿題は全て終わらせてしまったし、特に宿題とかではないはずだ。

まあ、気にせず過ごせばすべきこと、とやらが勝手に来るのだろう。

 共働きで全然家にいない両親と外が嫌いでずっと家に居座っている私の3人が住んでいるこの家には、今日も私が起きてきても私しかいない。

 ちなみに、私の起きた時間は朝の11時。

 食卓兼みんな用の机の上には一枚の裏返ったチラシが置いてあった。そこには『ご飯は自力で、あと学校行ってね』とだけサインペンで無駄に丁寧な字で書かれていた。おそらく、母からの置き手紙なのだろう、と予測した。

 とりあえず冷蔵庫の中を見てみるが、何もない。……というか、両親ともに働いてる家庭なら確かに食材がないのもありえる状況だ。これは理解しているつもりだ。

 しかし、母よ。なぜそれを知っているはずなのに自分で飯を作れなんて言ってきたのだろうか。心の中で嘆いた。嘆いた心の声はどこへ響くこともなく、かき消えていった。

 しばらく家の中の食糧がありそうなところを物色した後、ご飯は後回しに学校へ向かうことに決めた。

 特に変わったこともなく学校へ着いた今、気づいたことがある。何で私学校こなきゃいけなかったんだ?というか母親はどこだよ。呼んどいて放置とか、私そういうので喜べる人間じゃないんだよなあ。

「まあ、私そもそもで人をまてるような人間じゃないんでね!好きに動きますよ」

と、誰に向かってでもない言葉を呟き、校舎を闊歩することにした。

 

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