紅一点

「ありがとうございました」

「……やっぱかわいいな、トモちゃんは」

 このレストランには、週末だけ入るウエイトレスがいる。

「店長の娘さんだっけ?」

「姪っ子さんだよ。つか店長まだ独身だし。あーあ、彼氏いるのかなぁ」

「お前も受けてみたら? パートナーチャレンジ」

「なにそれ!? 聞いたことないけど」

「ああ、簡単な試験があるらしいんだけどな」


「君が、私の彼氏になりたいっていう、ええっと……」

晴喜はるきです! その、よろしくお願いします!」

「じゃあ、これ私の連絡先ね」

 そう言って友音ともねはクッキーの包みを渡した。

「え、これクッキーじゃ……」

「中に、私の連絡先が書いてあるから、食べきったらそれに連絡して」


「おいハルキ。例のトモちゃんへの告白、うまく行ったのか?」

「はあ? 俺が告白するわけないだろ」

「…… ああ、お前もダメだったのか」

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