写真のように
「私の体の八割はもらい物なんだ」
そう言う老人は、こう続けた。
「こっちは戦争の時に同じ兵舎のトモヒロから、ここは臓器提供者から、こっちは……」
ざっと十数か所を指さし、さらに続けた。
「これらの記憶を戻してやることはできるのかねぇ?」
「すいません、『カラダの記憶』はまた違うのでそういった注文は難しいですし、記憶忘れ以外の注文は予約制なんです」
「ははは。聞いてみただけだよ。実はね」
話を聞くと、老人の片目は奥さんの物だそうだ。
それも、若くして亡くなってもう五十年以上経つという。
「ただ、あいつが見ていた私の姿がどういうモノだったかを知りたかったんだよ」
すると、ウエイターはこう答えた。
「それなら、目をつぶってじっと待っていればいいかと」
「何故かね?」
「きっと網膜に焼き付いているはずですから」
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