第37話 王国改革 1

ーー 王国改革 1



僕はお父様であるケンドール公爵を通じて、国王に幾つかの献策を提案した。

・農地復興のやり方

・上下水道の提案

・保存食と非常食の作り方

・衛生と生存率

・識字率の効果

の5点だ、派閥の枠を超えて望むののには提供する準備があると。

その有用性を感じた国王は、4公爵(候)を集めた国王会議で僕の提案を紹介した。

しかし僕に教えを申し出た領主は、多くなかった。

ケンドール公爵の寄子全てとセガール公爵及びサンドール侯爵の寄子の一部、が申し出ただけだった。


これには国王も不味い顔をしたが、これはそれぞれの領主の判断だ。

強制するわけもいかず、今後さらに格差が生まれることを危惧し始めた。


僕はいつでも支援ができる体制を整えると、希望の領主を訪れ一から指導をしまた自ら手伝った。


そして季節は、黄から白にそして青に駆け抜けるように変わって行った。



ーー 高等科1年の赤の休み。


王国内の領主で希望した場所の支援がほぼ終わった。

赤の季節を終えれば、実りの黄の季節だ。

農地復興で食糧生産性が一番目に見える効果だと思っていた僕は、それにより王国中が一つになるのではないかと見ていた。

他にも街並みが変わり、入植者が増えたり子供の出生率と生存率があがったりと、目立ちはしないが10年もすればはっきりと分かる事も増えてきた。


しかし未だその他の領主らは頑なに、新しいものを受け入れようとしなかった。そしてそれらの多くの領地に教会があり「女神の教えを疑うのか?」と領主に以前の体制を強制しているようだった。


「ダメ女神のために上手くいかないなんて・・・本当にダメだな。」

と愚痴を漏らした僕。



「どうしてこうなったのかしら?私はこの世界を救うために・・おかしいわね。」

何処かでいつもの声が聞こえていた。




ーー 避暑地でバカンスを楽しもう。



僕らメンバーは、共同の別荘のある避暑地に来ていた。


「今回はお母様達が押し寄せることはないんでしょうね。」

ミリア嬢が僕を見て聞いてきた。

「多分大丈夫だと思うよ。僕の伯爵領にエステ専門の店を幾つもオープンして待っているから、そっちに行くと思っている。」

と答えると

「確かに、私のお母様も割引券なるものを頂いたから、エストニア伯爵領内に行くねと申していました。」

とエリーナが言うと

「「「うちも同じだよ」」」

と答えた。

ただしクロニアル君が

「うちは、エスト君のお母様と何処かに行くかもと言ってたよ。」

と言う言葉に僕は心当たりがあった。

「また来るかもね、此処と言うより海の家に。」

と呟くと

「「「ああ。あそこならあり得るわね。」」」

と声が揃った。



ルシリーア嬢とメアリースクイブ女王。


セガール公爵の娘ルシリーア嬢と王女は、学園のクラスメイトで仲が良かった。


「ねえ、ルシリーア。エストニア伯爵様がグスタング王国にお持ちの、海の家というものに興味は無いかしら?」

と尋ねた。

「グスタング王国、海の家?・・申し訳ありませんが、私それを知りませんが。」

と申し訳ない顔で答えるルシリーア嬢。


「それについては私も詳しくは知らないの。お母様達が集まって話をしていたのを小耳に挟んだのよ。でもエストニア伯爵は色々と知らない物素晴らしい物をお持ちですわね。そう思わなくて?」

と問われ

「はいそうだと私も思いますわ。あの方の親しいご友人らが羨ましい時がございますもの。」

と素直に答えると、

「そこで提案があります。エストニア伯爵の妹クレアリーナ嬢とお友達になるのはどうかしら?」

と提案してきた、確かにその話は素敵な提案だった。


「分かりました、お茶会のお誘いをしてみましょう。」

とすぐに動き出すルシリーア嬢とそれに満足そうなメアリースクイブ王女。



クレアリーナの日常とお友達。


クレアは最近、兄エストニア伯爵と行動することも多かったが、自分の女性としての派閥を作ることにも興味があった。

養母であるケンドール公爵夫人を見ていて、ああなりたいと切に思い出したからだ。

「お母様、私にも社交をお教えくださいませ。」

と良く社交をご一緒している姿を見せていた。


そんなクレアのところにお茶会の招待状が、王女連名で届いた。


「お母様、どう対処致しましょう?」

直ぐに教えを請うクレアに公爵夫人は、

「もう貴方も一人で社交をこなせるわ、いってらっしゃい。そして使えるものは躊躇せず使うのよ、エストニアのものでもいいわね。」

とアドバイスをくれた。



            ◇


お茶会の日。


「いらっしゃいませクレアリーナ様、学園や社交では何度かお会いしていますが、改めてお茶会にお誘いしたのには私たちからのお願いがありましたの。」

と王女と公爵令嬢がクレアリーナの手を引くようにテーブルに着くと、切り出した。


「私達、貴方とお友達になりたいと思っているの、どうかしら?本当のお友達に。」

とメアリースクイブ王女が言うと隣で、ルシリーア嬢も優しく頷く。


「はい、王女殿下。私もお二人のお姉様方とお友達になれれば素敵なことと思っておりました。どうぞよろしくお願いします。」

と元王女の笑顔を振りまいた。


その後はエストニアのことをよく思っている3人の会話は弾み、本当に親友と言えるほど打ち解けて行った。


「メアリー、ルシリー、私のことはクレアと呼んでください。」

と言うところまで仲良くなったところで、クレアが提案した。

「エストニアお兄様の別荘か海の家に一緒に行かれませんか?」

と。

二人にとっては待ち望んだ言葉、二つ返事で了承すると。

クレアが魔法の手紙をしたため、飛ばしたのだ。


するとしばらくして、手紙が戻ってきた

「何時でもおいで、待っているよ。」

と言うエストニアの返事を持って。



ーー 海の家に飛ぼう。



「お兄様お早いおいでありがとうございます。」

妹のクレアリーナが僕を出迎えた。

その後ろには手紙で知らせてくれた、公爵令嬢と王女が立っていて静かに頭を下げた。

「手紙の通りのようだな。さあ、何処に行こうか?」

と声をかけると、

「「「海の家に」」」

と揃って答えた。



グスタング王国南海の家。



海の家に転移すると、現地の使用人から

「エストニア伯爵様、侯爵家ルビー様から言伝があります。此処に滞在のおりは是非ご連絡を。と言うことでございました。」

と、懐かしい名前を伝えてくれた。


ルビー嬢は、グスタング王国のダイアナ第4王女と共に、我がセガール王国の学園に一時期留学してきたクラスメイトだ。

「分かった、それではこれを伝えてくれ。」

と言ってその場で手紙を認めると、使用人に手渡した。

受け取った使用人は、直ぐに何処かに出かけて行った。


「エストニア伯爵様、この地でも伯爵と呼ばれているにですか?」

とメアリースクイブ女王が質問してきたので、

「実は以前この国の王妃の・・・、それで法衣ですが伯爵に。」

と説明したのであった。


「さあ、海の家です。存分に遊び倒すために個々の施設の説明をしますね。」

と言いながら3人を連れて屋敷内と入江に停泊中のボートの説明及び、水着と浮き輪などの説明と使い方を行った。


「クレア、ルシリー行くわよ!」

女王様は活動的なようだ。

2人を連れて水美に着替えては海に走り出した。

「ワッ!詰めた気持ちいー。しょっぱいわ!海って本当にしょっぱいのね。」

驚きと感動に身邪気に水辺を転げ回るように、波に翻弄される3人を見ながら僕は周囲に気を気配っていた。


どうも離れているが周囲に人の気配を感じるのだ、俯瞰の魔法で周囲を確認する。

「ん!山賊?いや此処なら海賊か?」

30人ほどの男らが武装して、僕の作った城壁を攻略して中への侵入を試みている様だった。



ーー 侯爵家ルビー    side



エストニア伯爵様の海の家が狙われていると情報が入ったのは、ごく最近のことだった。

周囲の漁師達に漁の技術を教えたり、大量の海の幸を海草(海藻のこと)まで買い取ってくださる伯爵は、周辺領民の評判がすこぶる良いのだ、よって敵対する様な情報が直ぐに入ってきた。


「こちらの滞在するときは、注意する様に伝えておかなければ。」

と思っていた頃に、エストニア伯爵様が少人数で遊びに来られたと連絡が入った。


「直ぐにエストニア伯爵領内の屋敷に向かいなさい。」

と私はお父様を通じて兵を向けたのです。

「私も向かいます。」

そしてその後を追うように、私も向かいました。



エストニア伯爵領内の「海の家」と言う屋敷が見えてきました。


近くで待機していたおかげで、私たちは4時間ほどで海に家に辿り着きました。

「あれがそうですか?丈夫そうな城壁が周りを囲んでいる様ですね。」

思わず呟くと、兵の隊長が教えてくれました。

「はい、エストニア伯爵様は、僅かな私有地をあの城壁で囲まれました、僅かといえども1人の魔法師があれだけの城壁を僅かな1日で作り上げたことは、脅威と言えます。」

という話です。


近づきと人が倒れているのに気づき始めました、

「誰か倒れてますね。」

兵士が駆け足で確認して戻ってきました。

「盗賊の様です、既に入り込んだ様ですが倒れている者は雷に打たれた様子です。」

と報告した、私は

「直ぐに、エストニア伯爵に面会しましょう。」

と兵士と共に門を叩きました。


「はい少々お待ちを。」

落ち着いた家令の声が聞こえて、重厚な門が開きます。


「ご当主様がお待ちまねです。どうぞ。」

と言われながら門を潜ると、山の様に積み上げられた盗賊と思われる男達が中庭に。


その横でエストニア伯爵が笑顔で、

「これはルビー嬢、お久しぶりです。お元気でしたか?」

と話しかけるエストニア伯爵に押されながらも

「はい。お久しぶりです。それとは別に危険が迫っていると、お伝えにきたのですが・・・必要なかった様ですね。」

と男らに山を見ながらいうと。

「いえいえ、そのお気持ちが嬉しいのです。ちょうどわが妹や友人を連れて遊びにきておりました、ルビー嬢にもしお時間があれば紹介したいのですが。」

と言われて

「はいもちろん、時間はありますわ。」

と答えていた。



ボートの上にて。


入江のボートに乗り込み、エストニア伯爵からゲストの紹介がされた。以前見かけたことにある女性である。

「ようこそルビー嬢、以前学園でお会いしたメアリースクイブです。」

「私も同じくルシリーアです、お久しぶりです。」

「私は初めてです、エストニアお兄様の妹でクレアリーナですよろしくお願いします。」

と挨拶してくれた。

その後、海の上を飛ぶように進むこの大きなボートで、釣りや海の中を歩く魔道具で遊びまくったのは、姫様には内緒にしておきましょう。


その後も兵士を返した後、数日間海の家と呼ばれる屋敷に滞在した私でした。

「またあの美味しい、ケーキをたくさん頂きました。」

と呟く私。

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