第一章 〜 星屑石 〜
最初に目に入ったのは、高い、高い真っ黒な天井と真っ黒な壁の境にある装飾だった。
装飾を照らす、かすかな光で、それは真っ黒な炎のように見えた。
雄紀は、ゆっくりと立ち上がった。
ここは、大きな、真っ黒な大理石の様な石で作られたような建物の中の様だった。
雄紀は、装飾の下の方へ歩いて行った。
壁のところまで行きつくと、炎の様な形に見えた装飾には、沢山のガーゴイル顔の様な形の凸凹が彫られているのが見て取れた。
学生の頃に読んだ歴史の教科書に見た魔女狩りを思い出だした。
少し気味が悪いと感じた。
ふと、下に視線を落とすと、壁にはドームを半分に割った形の穴が開いており、そこには金色の枠があり、台座が彫られ、その真ん中に50cmx30cmくらいの真っ黒な石が置いてあった。
雄紀は、その石に手をかざした。
すると、手をかざした部分が白く光り始めた。
雄紀は、無意識に、その石に両手をかけ持ち上げた。
すると、その石は真っ白になり、虹色に輝いた後、半透明の乳白色に薄い水色とピンク色が混ざった色に光り、落ち着いた。
「
右奥から、麻色のローブの上に紺と紫の真ん中の色の服を着た人が出て来た。
「Δ§¶φθ!」
その人たちは、雄紀には理解できない言葉を叫んだ。
雄紀は、はっとした。
急いで、石を元あった場所に置いた。
石は、元々置いてあった枠の中にはまらず浮き上がって壁から出て来た。
まるで、「連れて行って」と、言わんばかりに雄紀の方へ浮遊して来た。
『しまった。どうしよう・・。』
右奥から、麻色のローブの上に色んな違う色の服を着た人たちが後から後から出て来た。
雄紀は、思わず外への出口であろう扉へ駆け出した。
後ろで、何か叫んでいる。
雄紀は、無我夢中で走った。
もう直ぐ、外に出られると願いながら、重厚な金属の扉を開いた。
外だ!
そこには大きな道があり、人がたくさんいた。
飛び出して来た雄紀は、そこにいた人たちの視線を感じた。
雄紀は一瞬ひるんだ。
しかし、これだけの人がいれば、まぎれることが出来る。
しばらく、通行人の人々と同じスピードで動きながら その場所から遠ざかった。
その後は、とにかく駆けて、駆けて、力の続く限り走り続けた。
どれくらい走っただろう。
勇気が、あの黒い部屋を飛び出した時、太陽は眩しく閃光を放つように輝いていたのに、いつの間にか、その光は赤く色づいて陰って来ていた。
雄紀は、むせて倒れ込んだ。
「喉が焼ける。気管も肺もだ。息が・・・できない!」
雄紀は、再び気を失った。
そして夢を見た・・。
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