第5話
兄は、10月3日から22年間働いていた総合商社をやめて、浜松市内の信用金庫に再就職をした。
しかし、兄の収入は前の職場にいた時の3割に低下した。
アタシは、両親から兄の収入が下がったことを理由に結婚してくれと強要された。
アタシの両親は『条件が悪くてもいいから…』と言うてるけど、また同じことの繰り返しになるからアタシはイヤ…
そんな中で、四国にいる父の知人から松山のボイラーメーカの製造工場に勤務しているたけひこさん(39歳)はいかがですか…と言う知らせが来た。
たけひこさんは、今治市内の一戸建ての家で両親と弟のたけのりさん(28歳・富田新港の食品会社の本社勤務)と妻(26歳)の5人で暮らしていた。
たけひこさんは、もうすぐ40歳になる…
39歳のうちにお相手を見つけないと条件が悪くなる…
父の知人は、ひどくあせっていた。
10月7日頃、アタシは両親と一緒に浜松駅から新幹線と特急列車を3回乗り継いで今治駅へ向かった。
お見合いは、10月8日に今治国際ホテルのエントランスのカフェテリアで行われる…
この日、アタシと両親はいまこくに泊まることにした。
10月8日の午前11時頃であった。
いまこくのエントランスのカフェテリアにて…
アタシとたけひこさんのお見合いは予定通りに始めることができた。
しかし、お見合いが始まって早々にもめ事が発生した。
お見合いの席には、アタシとアタシの両親とたけひこさんとたけひこさんの弟さん夫婦と仲人さんの父の知人夫婦がいた。
テーブルの上には、ガトーショコラのケーキセットがならんでいた…
この時、コーヒーが冷めかけていた上にケーキはひとくちも食べていない…
お見合いが始まって早々に、たけひこさんがものすごい血相でイライラしていた。
この時、アタシたちが座っている席の向かい側の席では愛結び(愛媛県のお見合い事業)のカップルさんが座っていた。
お見合いで初対面だけど、ざっくばらんに楽しくおしゃべりをしているカップルさんを見たたけひこさんは、急激にイライラを高まめた。
たけのりさんの奥さまは、たけひこさんに『たけひこさん…せっかくのお見合いなのだから…』と優しい声で言うた。
たけひこさんはたけのりさんの奥さまが言うた言葉を聞いてブチ切れた。
(がツーン!!)
たけひこさんは、たけのりさんのこめかみをグーで殴りつけた。
「オラ!!オドレ!!さっきオレに何て言った!?」
「兄さん、痛いよ…」
「オドレはオレに社内恋愛ができないからざまーみろとグロウした!!」
「してないよぉ…」
「ぶっ殺してやる!!」
「義兄さま!!アタシは、会話が進まないから千鶴さんとお話をすれば楽しくなれるよと言うたのよ…」
「だまれ!!」
(バシッ!!)
「痛い!!」
たけひこさんは、たけのりさんの奥さまの顔を平手打ちで叩いた。
たけのりさんの奥さまの右のほほから血があふれ出た。
たけひこさんは、なおもたけのりさんに暴行を加えた。
「ふざけるな!!」
「兄さん…やめてくれ〜」
「だまれ!!」
(ガツーン!!ガツーン!!)
たけひこさんはよりし烈な力でたけのりさんに暴行を加えた。
「兄さん、何でぼくを攻撃するのだよ!?」
「オドレがショッケンで社内恋愛をして結婚したことが原因だ!!家の中でイチャイチャしやがって!!ぶっ殺してやる!!」
たけひこさんは、よりし烈な力でたけのりさんに殴るけるの暴行を加えた。
アタシの両親は、危険を感じたのでアタシを連れていまこくから出た。
その後、すぐに浜松の自宅へ逃げて帰った。
お見合いは、たけひこさんがたけのりさん夫婦にきつい暴行を加えたことが原因で台無しになった。
アタシの父は、今治にいる知人夫婦がおわびの電話をかけてきても絶対に許さないと激怒していた。
それから3日後のことであった。
今治で暮らしている知人夫婦からうちに電話がかかって来た。
知人夫婦は、たけひこさんの暴力の原因について説明した。
たけひこさんは自身の結婚問題と家庭内の問題に加えて、遠距離通勤の問題を抱えていた。
今治の家から堀江のボイラーメーカの工場までバスを乗り継いで遠距離通勤をすることに苦痛を感じていた…
他にも、待遇面に強い不満があった…
たけのり夫婦が社内恋愛で結婚したことが気に入らないから仲良くできない…
…などで、たけひこさんはヒヘイしていた。
先方さんは『本人の気持ちが落ち着いた頃にもう一度セッティングをしておくから…』と父に言うたが、父は『やかましいボケジジイ!!』と言うて電話をガチャーンと切った。
それからまた3日後のことであった。
今度は、たけのりさんがうちに電話をかけて来た。
たけのりさんは、電話に出た父に改めてたけひこさんのことを説明しようとしたが、ガチャーンと切られてしまった。
それからまた2日後に、父の知人夫婦が再び家に電話をかけて来た。
知人は、父にもう一度だけたけひこさんにチャンスを与えてほしいと申し出たが、父はガチャーンと電話を切った。
父の知人が言うた言葉が父のゲキリンにふれたようだ。
千鶴さんもたけひこさんと同じく苦しい思いをしている…
それなのに、どうしてイコジになるのか…
もう一度たけひこさんに機会を与えてくれ…
それを聞いた父は『ふざけるなクソジジイ!!』と言うてガチャーンと電話を切った。
ふざけるな…
なにがたけひこさんにもう一度機会を与えてくれだ…
両親は『うちらの目が黒いうちは、結婚禁止だ!!』と言うてイコジになった。
見かねた兄が父の知人夫婦に電話してたけひこさんとアタシのお見合いのセッティングしてほしいとお願いした。
それから数日後、アタシとたけひこさんのお見合いが再び実現した。
アタシとたけひこさんは、お見合いの場で結婚することを決めたけど、婚姻届は出さかった。
挙式披露宴は、ふたりともいやだから挙げないことにした。
アタシとたけひこさんは、婚姻届を出さずにたけひこさんの両親とたけのりさん夫婦と同居することにした。
たけひこさんのご両親は、ふたりとも力がついてないので『力がついたら市役所に(婚姻届)を出せばいいよ…』と言うてくださった。
アタシは、お見合いした翌日からたけひこさんの実家で暮らし始めた。
がんばって力をつけようと努力していたが、ものの3日でトンザした。
どんなにがんばって努力しても、力がつかない…
どうすればいいの…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます