第120話 宣戦布告?

過日、いわゆる北朝鮮の発射したミサイルが日本上空を超え、太平洋に落下した。他国のミサイルが、自国の領空を侵犯して飛んでいったわけである。このことは極めて問題であると思われる。


一つは、日本にミサイルを落とすことは容易であると示すことと、もう一つはアメリカ領であるグアムまでミサイルを飛ばせる能力がある、と示したことである。


これに対する日本やアメリカの対応は、思ったより抑制的である。日米安保条約があり、日本独自で軍事的な何かを発信することはできないであろうから、この動きは日米相談のうえでの動きであろう。


数年前には、韓国軍が、日本の哨戒機にミサイルの照準となるレーザービームを当てたことでも問題になっていたが、どちらも、明らかに日本に対する宣戦布告と判断されてもおかしくないだろう。ロシア軍や中国はそのあたりはうまく、微妙に「宣戦布告」とは取られないようなぎりぎりのところでとどまっている。


そういう点で、私たちは憲法第9条に守られているのか、縛られているのか、どちらなのだろうか?


聖徳太子の時代から、日本は「和を以て貴しとなす」としており、それはその通りなのだが、ならず者が闊歩する時代では、アメリカ開拓史でアメリカ人が骨の髄から身に着けた「力による平和の維持」という考え方のほうが有効なのかもしれない。


以前、CATVで、アメリカ軍原子力潜水艦のドキュメンタリーを放送していた。通常任務に就いているときでも、常に様々な訓練が艦内で行われており、もちろん、搭載している核ミサイル発射訓練も繰り返し行われていた。

艦長へのインタビューで艦長は「大統領閣下の命令があれば、即座にミサイルを発射します。ただし、我々の艦の中で、『核ミサイルを発射したい』と思っているものは誰もいません」と答えていたことを覚えている。


実に難しい問題だと思う。

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