第77話 李下に冠を正さず 瓜田に履を納れず

昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックで、組織委員会の理事と紳士服メーカーの贈収賄がニュースとなっている。今日の朝刊にも記事が載っていたが、東京大会が1年延長されたことで、協賛スポンサーにスポンサー料の追加支払いを求めることになったとのこと。紳士服メーカーは一億円の追加料を要求され、「高すぎるがどうしたらよいか」と組織委員会の理事に相談。その理事が影響力を発揮したのかどうか、現時点では明確にはなっていないが、結局追加料は1億円→1千万円と1/10に減額となったそうである。で、理事は複数回に分けて紳士服メーカーからお金を受け取り、受け取った額は5100万円とのこと。


推定無罪の原則があるので、あくまで新聞記事を読んだ感想、として書くことにするが、会社側と組織委員会が交渉を重ね、追加金を1億円を1千万円に減額してもらった一方で、理事に5千万円以上払える、というのは、やはりスッキリしないように感じる。もうちょっと頑張って、1億円払えばいいじゃないか(組織委員会が様々な問題を抱えている、というのは横に置いて)、と思ったりもする。


何か国家的事業(オリンピックしかり、アベノマスクしかり)をしようとして、業者を選定しても、請負業者が中抜きをして、下請け、孫請け、曾孫請けと仕事をたらいまわしにして、実働部隊にはそれほどお金が入らず、中抜き企業だけが利益を得る、というニュースを見ることがあまりにも多いような気がする。


記事になっていたことについては、まだ裁判も開かれていないので、推定無罪とすべきだが、故事成語にあるように、「瓜田に履を納れず 李下に冠を正さず」ということが、組織の中枢部にいる人間として必要な姿勢ではないのかなぁ、と思う次第である。

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