第33話 北東の魔物の森

 ◇◇◇◇◇


 リオたちは、北東の魔物の森に向けて出発した。今回はゼータとサランがいるので、ゼータにはリオとリンドウが、サランにはカゲロウが騎乗して目的地を目指して進む。


 地図を頼りに街道沿いではない道なき道を目的地に直線的に進んでいた。


 ゼータとサランの移動スピードは通常の馬に比べても尋常じゃないほど速く、周りの景色を置き去りにしていく。


リオ:「リンドウ。このペースでどれくらいで着くかな?」


リンドウ:「そうね。これなら半日も進めば着くんじゃない?」


リオ:「そっか。じゃあ、昼頃には着くね。

 ゼータ。よろしくね。」


ゼータ:「うん。がんばる。

 着いたらエサをたくさんちょうだいね。

 サランにもだよ。」


リオ:「もちろん。だいぶストックしてるから、欲しいだけあげるよ。」


ゼータ:「ヨシ。がんばるぞ!オー!」

サラン:「ワオーン!」



 ◇◇◇◇◇



リオ:「この辺りだね。やっと着いた〜!

 ゼータ!サラン!お疲れ様!

 これエサだよ。ゆっくり食べて。」


ゼータ:「うん。疲れた〜。」

サラン:「ワオ!」


 たくさんのエサを置いておいた。

 ゼータにとっては、ガチャ産のエサが一番の大好物。美味しそうにパクパク食べている。

 もちろん、仔狼の状態で。

 同じ量でも満腹感に差が出るのだ。

 サランも同じく美味しそうに食べている。

 2頭とも食べてる仕草が半端なくかわいい。

 仲いいなぁ。見てて飽きない。



リンドウ:「リオ。私たちもここで食事にしましょう。

 特訓に備えて、食べておかなきゃね。」


カゲロウ:「せやな。ちょうどお腹も空いてきたし。」


リオ:「うん。じゃあ、これ。」


 こちらもガチャ産の食糧。

 リンドウもガチャ産の食糧が一番美味しいというくらい、クオリティが飛び抜けている。

 しかも、いろんな種類の料理が出てくる。

 今回はハンバーグのような肉料理が出てきた。

 カゲロウも一口食べてびっくりしたくらいに、ものすごく美味しい。


カゲロウ:「なんや、この美味しさは!?

 この世のものとは思えんなぁ。」


リオ:「それがガチャ産のクオリティですよ。」


リンドウ:「そうなのよね。こちらの世界の料理も美味しいけど、これに比べたらダメね。」


リオ:「そうそう。ストックいっぱいあるから欲しかったら言ってね。」


カゲロウ:「おおきに!リオ。もう一個ちょうだい!」


 カゲロウ。食べるの早すぎない?


カゲロウ:「はー、満腹!ご馳走様!美味しかったわ。」


リンドウ:「食べ終わったし、少し休憩したら森に入りましょう。」


リオ:「うん。わかった。」


カゲロウ:「よっしゃ。うちのええとこ見せる時が来たな。」


リンドウ:「カゲロウは戦闘なしよ。」


カゲロウ:「え?なんでや?」


リンドウ:「あなたを鍛えても仕方がないでしょ。

 今回はリオの特訓なのよ。」


カゲロウ:「あ!そういうことね。

 ほな、リオのええとこ見せてもらうとしますか。」


リオ:「うん。頑張ります。」


 王都を出発してからすでに半日。

 今日は午後のみの特訓になる。

 当然、日帰りというわけにはいかないので、長期滞在の予定である。

 あらかじめ、王城を出る際にシャビル王子たちには、最低でも10日間くらいは帰ってこないことを伝えてある。


 王子はリンドウが賞金首であることで狙われる危険もあって、ものすごく心配していたが、リンドウはそれよりもリオの特訓が優先と聞かなかった。


 というわけで、今回の特訓は強化合宿の計画となっていた。


 高級テントもすでに+7。さらに豪華になっていることが予想される。

 家具や備品も充実していて、さらに食糧、飲料、エサもストックが山ほどある。

 もう、キャンプとは言えない程の住環境が整っている。


 なので、気にせず長期強化合宿に専念できる状態なのである。


 リオたちは、休憩を終えて森に入って行った。



 ◇◇◇◇◇



リオ:「ゼータ、サラン。魔物がいたら教えてね。」


ゼータ:「オーケー。兄ちゃん。」

サラン:「ワオ!」


 森の中を移動する間、少しカゲロウの忍術というものを見せてもらった。


 特に迷彩の術っていうのがビックリ。

 どこにいるのか検討もつきません。

 リンドウ曰く、気配も消しているのでリンドウでもわからないらしい。

 カゲロウは有頂天で自慢していた。

 さすがは隠密に特化しているだけある。


 そうしているうちにゼータが魔物の気配を察知したらしい。


 先にカゲロウに確認してもらったところ、ワーウルフの群れがいたらしい。


リンドウ:「じゃあ、ここからはリオ一人で戦闘に入るからね。カゲロウも見てるのよ。」


カゲロウ:「わかってるって。」


 まずは、物陰からワーウルフを一閃に斬る。


 シュパ!


 一気に他のワーウルフに近づき、連続で斬撃開始。リオの素早さが上がっていることにより、ワーウルフが体勢を整える前に次々と斬っていく。


 シュパ!シュパ!シュパパパパパ!


 気づいた時には全てのワーウルフを殲滅していた。


カゲロウ:「へえ。リオは結構やるやんか。」


リンドウ:「そうね。Dランクのワーウルフなら群れでも問題ないくらい強くなってるわね。」


リオ:「すごく成長しているような気がするよ。」


リンドウ:「ここからは、魔法も織り交ぜて戦闘して行きましょう。いざっていう時に使える手を持っておいた方がいいからね。」


リオ:「わかった。次からはそうするよ。」



 リオたちは、さらに森の奥へと入っていく。


 まだ、この辺りはワーウルフの生息地のようで、次から次へとワーウルフが湧いてくる。


 その度に、リオが問題なく討伐していく。

 レベル上げには最適だが、特訓という意味では物足りない結果になっている。


リンドウ:「リオ、ちょっと進む方向を変えてみましょう。ワーウルフばっかりじゃ特訓にならないわ。」


カゲロウ:「せやな。リオにはちょっと物足りんかもしれんなぁ。まあ、それはそれですごいんやけどな。13歳にしてDランクは楽勝って、よう考えたらものすごいでぇ。」


リオ:「えへえへへ。そうかなぁ。」


ゼータ:「兄ちゃん。すごいね!」

サラン:「ワオ!」


リンドウ:「調子に乗らない。リオはまだまだよ。

 Cランクを探すわよ。」


リオ:「うん。そうだね。」


 リンドウはこういうところは厳しい。



 ◇◇◇◇◇



 その日は結局、Cランクの魔物には遭遇できず。ワーウルフをひたすら狩りまくるという結果に終わった。そのおかげでレベルは上がった。

 言われた通り、魔法との組み合わせの練習もちゃんとやりましたよ。



 そして、日が暮れる前に森を抜けて、平野の周りの見通しの良い開けたポイントまで戻ってきていた。


 今日はここで宿泊予定である。


 リオは高級テント+7を召喚!


 ボン!


リオ:「やっぱり、さらに大きくなってるね。」


 ゼータとサランにお待ちかねのエサをあげて、リオたちはテントの中に入る。


カゲロウ:「ほな、夕飯にしよっか!

 ガチャ産の食糧をおくれ!」


リオ:「はい。いっぱいあるからね。

 リンドウもどーぞ。

 今日はステーキだね。」


リンドウ:「これも美味しいわね。」


 3人で団欒。本当に快適だ。


 ちなみに夜の見張りについては、どうも召喚獣はエサを食べれば、寝なくても大丈夫らしく、サランも増えて寂しくないのでゼータとサランが一晩中見張りをしてくれることになった。

 そういう意味でも、サランが増えたのはすごく大きい。


 一応、外の様子を見に行ったが、ゼータとサランは楽しそうにじゃれあって遊んでいた。


 見張りもちゃんとやってるよ!

 ふふふ。出来た弟を持って幸せです!


 サランもリオの妹ということにした。

 サラン・ルナベルが正式な名前です。

 これで5人家族ってことかぁ。しみじみ。


 リオたちも食事の後、3人でお風呂に入ってくつろぎのひととき。


 今晩も何やらリンドウとカゲロウから教育の続きをしてもらいました。


 そして夜は更けていく……。

 

 さあ、明日もがんばろう!


 ◇◇◇◇◇

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